名称:・海軍兵站システム (技術)
要点:・停泊する補給艦・積荷をデリックで積載中
周辺環境:・海辺に面した補給所
評価:−
特殊: *海軍兵站システムを運用する国は、戦闘動員による燃料消費を75%に出来る。
→次のアイドレス:
・補給士官(職業4)・輸送機開発(イベント)・大規模修理工場(施設)
http://farem.s101.xrea.com/idresswiki/index.php?%B3%A4%B7%B3%CA%BC%E3%EB%A5%B7%A5%B9%A5%C6%A5%E0
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◆ハイクオリティ
西国人+猫妖精+歩兵SHQB継承2適応申請:消費軽減率×0.60
(累積0.75×0.75×0.60×0.60≒【消費軽減率⇒20%】)
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・海軍兵站システム:ムービー
・海軍兵站システム:ストーリーボイス(ロングVer)
「グレイさん、確か昔、運送業をやっておられましたね?」
「ええ、まあ。運転は勿論、積み込み作業や配車までやってましたが」
「では、この度の『海軍兵站システム』の構築はお任せいたしますわ♪」
「え、ちょ、軍師!? 海軍って、海路じゃないっすか! 俺、トラック専門で……っておーい!!」
はいはい、いつものこといつものこと。
〜ある日の羅幻王国第一執務室での光景 41707002
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『海軍兵站システム』〜システム構築を手掛けたおっさん二人と重箱とほうじ茶と
◎『兵站』の意味
『兵站』とは「後方支援」もしくは「logistics(ロジスティックス)」のことである。「後方支援」という言葉は、場合によっては兵站には含まれない部外連絡協力・広報・会計を含んで用いられる場合もあるため、完全な同義語ではない。厳密に言えば「後方補給」に置き換えた方が良いかもしれない。「ロジスティックス」も直訳すると「物流」となるが、『兵站』を訳語とする戦争用語でもある。意味的にも「生産地から消費地までの全体最適化を目指す」ところが物流とは異なる。
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「最初見た時は『兵站』って何のことかと思ったけど……こういう事か」 パソコンの画面上に浮かぶ文字を見つめながらグレイは溜息混じりに呟く。 「つまり補給と輸送って事なんだろうけど、うーん」 腕組みして唸りながら、グレイは画面を読み進めていく。
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◎『兵站』の概要
戦争は金食い虫である。なぜならば、戦争で行われる活動は戦闘だけではない。兵士達を喰わせないとならない上に、兵器もいつでも使えるように整備せねばならない。また、状況によっては拠点や陣地の作成もしなければならない。以上のように多様かつ膨大な資金や資材が必要なのである。また戦闘で使用した消耗品の補充も必要であるため、前線や拠点には兵員と物資の充実が求められる。いざ不足が生じれば、それは作戦の遂行や部隊の戦闘力に顕著に影響を及ぼす。この損失に対する計画的・組織的な補給の為の様々な活動が、古今東西で重要視されているのは自明の理である。
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「まあ、それもわかるんだけどねえ……傭兵した時だって殆ど陸軍だったしなあ」 どうやら彼の中では『海軍』というのが殊の外気になっている模様である。陸の上ならば彼も腕の見せ所、とはりきるのであったが、海となると些か感覚が違うようだ。すると、執務室の扉からノックの音。 「なんだ、グレイ殿。珍しく頭が固いじゃないか」
「旦那……」
開きっぱなしの扉に背中を預けているのは蒼凪羅須侘。元流浪の傭兵で事実上の羅幻軍実行隊長である。何やら風呂敷に包まれた重箱片手ににやにやしている。
「そら、差し入れだ」
「お、有り難い。丁度腹が減ってたから……珈琲以外はほうじ茶しかないけど、いいかい?」
「おう、上等だ。悪いね」
肩を揉みつつ、パソコンから離れてお茶を汲みに行くグレイに、どっこらせと椅子にかけた羅須侘がにやにや顔のまま話しかける。
「ささみちゃん謹製のコーチン弁当だ……寂しがってたぞ?」
「あはは。流石にこんなでかい仕事を任されると、養鶏場にも中々行けなくてねえ」
「そらそうだ」
「みんな、元気にしてました?」
コトリ、と二人分の湯飲みがテーブルに置かれる。
「だから寂しがってたって。愛しい人に会えないってのはなかなか辛いもんだ」
「ちょ、旦那。変な誤解するなって。ささみちゃんに迷惑だ」
「……本気で言ってるから質が悪いな。まあいい。どれ、ちょいとアドバイスだ」
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◎『兵站』の構成
兵站の業務を考えるにまず言及されるのが、前線と基地との交通施設である。海軍兵站システムにおいては特に水路や海路が重要視されるが、各生産地や拠点から補給基地へと送り込む為の鉄道や陸路・航空路もその範疇に入る。
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「つまりは、どんな場所だろうと基本は同じってこった」
「……ちょっと考えすぎてたか」
重箱の包みを開きながら、羅須侘のアドバイスを素直に聞くグレイ。軍隊における経験は羅須侘の方に一日の長がある。
「うし。じゃ、港を拠点として、まずはそこに至るまでのシステム作りと行きますか」
「海上の事はウチの海軍から何人か寄越すわ。それを元に構築していこう」
そして、話をしながらにも関わらず、重箱の中身は神速でその姿を消していく。
「ああ……うん、やっぱり羅幻コーチンは美味いなあ」
「……やっといつもの調子が戻ったようだな。ふむ、相変わらず良い味だ」
羅須侘も重箱に手を伸ばす。その中身はまさに羅幻コーチン料理のオンパレ−ドだ。
「旦那、恩に着るよ」
「なーに。可愛い娘に泣きつかれちゃ、しょうがあるまい」
「へ?」
「さっさと終わらせて養鶏場行こうや。良い酒と良いツマミと良い佳人(おんな)が待ってるぜ?」
「……あんた、とうとう酒まで持ち込んだのかよ」
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交通によって繋がれた前線〜拠点の地域一帯は「兵站地帯」と呼ばれるが、羅幻王国における拠点は、首都都市部南側にある港となる。『海軍』であることと、『前線への輸送手段が船舶』である為、【海辺に面した補給所】であることは必須なのである。それ故、まずその港に、生産・交通の要所に平時から設置される戦略的な兵站線の中枢となる「中央兵站基地」に該当する『集約ターミナル』が建設された。これは羅幻王国内の陸上交通の要衝である交易路が、港のある都市部を中心にして整備されていることも理由の一つであるからである。
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・要点:・停泊する補給艦・積荷をデリックで積載中
(撮影:グレイ様)
次に、その『集約ターミナル』へ物資を供給する為の交易路を大動脈とした輸送ネットワークが作成された。これは元からある国内流通機能を利用されているので、その構築は容易になされた。輸送ネットワークの末端に当たる重要な生産基盤となる地域を「兵站的防衛基盤」と言うが、羅幻王国ではこれは食料生産施設や養鶏場、燃料生産地がこれに該当する。鉄道のない羅幻王国ではもっぱら車両による輸送がメインであるので、全使用車両と各兵站的防衛基盤に設置された端末と『集約ターミナル』がシステム上で接続され、運用管理がなされた。
特に燃料生産地と集約ターミナルは地下に埋設されたパイプラインで直結されており、輸送船の運航用燃料だけでなく、前線に送る燃料もリアルタイムで直接輸送船にチャージすることが可能となっている。
海軍兵站システムの輸送のメインとなる『タマハガネ』に積み込まれる際も、徹底的なシステム化がなされている。積荷のユニット化による積み込み作業の簡易化はもちろんのこと、【デリックによる積込】、ベルトコンベアによる搬入、前述したパイプラインからの補給と、積込作業を三種類に分けての作業速度の高速化が計られている。また、輸送船には全て作業効率と重量配分をリアルタイムでモニタリングする為のシステムが搭載されており、正確な数量管理を基にした搬入、搬出を行うことが出来る。
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(読み込みに少し時間がかかります)
(撮影:グレイ様)
海路においては、今までの戦い(小笠原戦や広島戦等、実際に羅幻王国の兵員輸送船『タマハガネ』が使われた作戦行動)において、各海域の潮流や海底地図を作成する為の情報が集積されており、最も安全且つ省エネで運行できるルートを自動的に割り出す『海路ナビゲーター』が作成されている。これは各輸送船とターミナルに設置されており、計画的に運用されながら、緊急時等でもその場に応じた運輸体制に移行できるシステムとなっている。
また、作戦区域内、つまり前線側では「方面兵站基地」が設置され、作戦的な兵站線の中枢となるが、ここでは先行輸送船団がそれに該当する。輸送船には補給シミュレータが搭載されており、各前線基地をインプットすることにより、安全・確実な補給線を自動的に選出する事ができる。その補給線は基本的に前線に向かって網状に構成され、ヘリやホバー等で陸地の基地等に計画的且つ迅速に補給活動がなされるのである。
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「うん、しっかり機能してるようだ。これなら軍師も満足してくれるだろう」
「そうだな。ご苦労様、グレイ殿」
「いやいや、旦那がいなかったらどうなってたか。じゃ、早速養鶏場に……」
眼前に広がる集約ターミナルの偉容とその機能を確認して、二人はその場に背を向けた……そこには。
「流石はお二人ですね♪」
「「ちょ、ぐ、軍師!?」」
いつもの笑みを浮かべた蓮田屋藤乃羅幻軍師が立っていた。
「ふふ、計算通りとても良い仕事ですわ」
「はあ、やっぱりそうですか」
「まあ、だろうとは思ってたけどね」
そして一頻り笑い合う三人。
「お、そうだ。軍師殿も行きますかい?」
「?」
「そうだな。時間があればだけど、これから養鶏場に行って祝杯なんですよ」
「あら、いいですわね♪ 時間なら御座いますわ」
「じゃ、決まりだな」
羅須侘がかたわらに停めていたクロウラーの後部座席のドアを開けて、蓮田屋を誘う。そして残る二人も運転席と助手席へと乗り込む。
「ふふ、可愛い彼女さんに嫉妬されないように上手く立ち回って下さいね、グレイさん」
「ちょ、軍師まで」
「……あー、なんか速攻でビジョンが浮かんだわ」
「それでは参りましょうか。『羅幻 ストライクバック!』の前祝いですわ」
「ああ!」
「御意であります」
そしてクロウラーは一路、養鶏場へと向かうのであった。
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以上のように、羅幻王国の技術の粋を集めたロジスティックスシステムは、その船団国家の名に恥じる事なき偉容を見せる。
最適化されたこのシステムは海軍以外、また一般での運用も視野に入れられており、貿易物流の運営等に多大な影響をもたらすことであろう。
(設定:源様)