食糧生産地

我が国の生命線を支える食糧生産地の一部をご案内致します。

食糧生産地

 

解説

 羅幻王国の砂漠地帯に点在する食糧生産施設である。

 ネストと呼ばれる中心施設から直径1km程に渡って農地が広がっており、閑散とした砂漠地帯にぽつりぽつりと緑が広がるその光景は、その珍妙さも相成って、羅幻王国の農業を代表するものとなっている。

 

 本来農作業に向かぬ砂漠地域で十分な食糧を栽培するため、ナノマシンを大気中に散布することによる局地的な総合環境偏向農業が行われている。散布されたナノマシンをコントロールする施設がネストであり、その機能により一定区域の水蒸気量や土中熱量をある程度管理している。つまり、時折ネストから射出された小型ドローンが農地にばら撒くものは、水だけではないということだ。新陳代謝により3日間で性能が低下を始め、1週間で完全に機能を停止し有機分解を待つことになるナノマシンの空間濃度を一定に保つために、ネストの持つ機能の大部分が使用されている。

 

 主な栽培作物は米や小麦といった穀物類である。環境そのものがナノマシンで改造を受けているのに加え、栽培される作物も度重なる品種改良を受けており、より砂漠環境に適した品種へと変化している。ほぼ全ての工程が自動化されているが、やはり人の手を遣わねばならない行程も残っており、収穫の季節などには楽しそうに刈り入れを行う国民の姿が確認される。

 

 施設の操業は宮廷の認可を受けた事業主が専門的に行っており、生産された作物は一旦宮廷に買い取られ、その流通はある程度宮廷の手によって管理されている。

 

 この施設によって生産される食糧の欠点としては、味が薄く、主食としては十分だが食べがいが無いということである。とは言え、栄養価は十分すぎるほど含有しているので、なんだかんだで需要は一定量存在している。

 

 王室の保有する貯蔵庫には国家備蓄として年間消費量の6割が常に備えられている。

 

 基本的にはなんの変哲もない農地ではあるのだが、砂漠地帯に生息する巨大鼠を追い払うための機能を保有しているものもある。それらの多くは、巨大鼠(スーナーネズミ)が嫌う周波数の音を断続的に発生させるというもので、スーナーネズミ以外には影響が無い。だが、偶にそれに対し耐性を持つ個体が存在する。そういった固体を追い払うため、ネストには対害獣用閃光弾とその射出装置を備え付けているものもある。

 なお、時折勝手に品種改良されたらしい変な作物が見つかったり、夜中にこっそりと食糧生産地に忍び込もうとして閃光弾の直撃を受け転がる某自称天才科学者などが確認されているが、因果関係は公式には不明である。

 ……不明だってば。

(記述:四条あや様)

稲作

 

 

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(撮影:茉乃瀬桔梗様)

 羅幻王国に稲作ブームが訪れました。

 国民の20人に1人は、家の屋上を使って趣味用の水田を開いてます。

「米作りだにゃー!」

羅幻王国ニュースヘッドラインより>

 

 

食糧生産施設

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(撮影:寛様)

 

 

キノコ栽培

 

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山岳地帯にある、キノコプラントのドーム内では、キノコや薬草の栽培が行われてます。

(撮影:上・寛様、下・比月 コウ様 設定:羅幻雅貴)

 

 

漁業

 

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海が近いため、漁業が盛んである。

さらに羅幻王国は魚は貴重なタンパク源であり、猫の好物ともあって、非常に良く食される。

「大漁ばんざいだにゃー!」

(撮影:寛様、ぱんくす様 解説:羅幻雅貴)

 

 

水田

 

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(撮影:絢人様 設定:羅幻雅貴)

緑地化プラントではよく見られる風景の一つ。

ここで取れた米の大半が、羅幻王国の国民の台所に並ぶ事になる。

「稲育つにゃ〜♪がんばって美味しいお米やお餅になるにゃ〜♪」

 

 

麦畑

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(撮影:寛様 設定:羅幻雅貴)

食糧プラントで見られる風景の一つ。

なお、この風景は麦の収穫である。

ここの麦が様々なモノに加工され、羅幻王国全土へと運ばれて行く。

「良いのが取れたにゃー!パンにもうどんにもいいにゃー!」

 

 

グレイ様作『養鶏場増産!』

 グレイは今、国立養鶏場に足を踏み入れていた。

 その規模的は敷地面積300坪、建物面積200坪に及び、7つの鶏舎を抱えている。そのうちの5つは集卵が主になっており、後の2つは食肉用である。今、彼がいるのは集卵場の方で、そこには約一千羽の雌鶏がぽんぽんと卵を産み出している真っ最中であった。

 

 食料増産命令が出た今、主食は勿論のこと、総括的な増産体制が求められている。この先、バランスの良い栄養価を持つ卵は要の一つに挙げられるし、鶏肉もロー・コストで大量生産が出来る。よって、養鶏場の改善もしくは拡大は重要課題の一つとして掲げられていた。

 

 その職務に真っ先に手を挙げたのが、このグレイである。まだ国民登録して間もないと言うのに、目を血走らせてこの職務の責任者をかって出たのである。鳥好きの面目躍如である。

 

「えーっと、グレイさん、でしたっけ」

 

 養鶏場の中の様子を伺ったまま、涎を垂らしている馬鹿に声を掛けてきたのは、この養鶏場の監督であった。

 

「あ、はいはい。そうですが」

「増産と言ってもですねえ、これ以上となるとやっぱりマンパワーが必要な訳ですよ」

 

 その言葉に内部を見渡すグレイ。確かにオートメーション化はかなり進んでいる。しかし……

 

「いや、まだいけるでしょう。私が見てきた所では、これの二倍の規模をここと同様の管理体制で維持してました」

「は、はあ。そうなんですか」

「幸い、そこの機械の開発者とツテがあります。直ぐ連絡して……あと、設計技師と打合せをしますので、ここの図面をお貸し願いたい。あと……そうですね。集卵場を1つとブロイラー場を1つ建設しましょう」

 

 一気にまくし立てるグレイ……ただの鳥好きではなさそうだ。

 

「え? でも、肝心の鶏の手配はどうするんですか?」

「いえ。鶏の増加は序々に行きます。購入はせずに、ここで育てて行きましょう」

「はあ!?」

「鶏舎を2つ建ててもまだ50坪以上、土地の空きはあります。そこに飼育場を作って、質の良い鶏を自家生産するんです」

 

 そうこう言ってるうちに、何やら地響きが……それも段々と近づいていた。

 

「か、監督ー! なんか重機やらダンプやら一杯来てますよー!」

「なんですとー!?」

(ニヤリ)

 

 そう。既に打てる手は打っていたグレイであった。

 
 
 

          §          §          §

 
 
 

 とてかんとてかん。

 

 早朝から開始された作業であったが、時刻は既にお昼。既に整地作業は終わり、現在、基礎工。型枠(コンクリートの型みたいなもの)の製作途中である。この作業は未だに木材の使用が主流で、グレイもそれにはおおいに賛成派なのである。

 

「しかし、なんですね。何でも良くご存じで」

「ほんはほほはいへふひょ」

 

 そんな作業を見守りながら、花柄の敷物の上でお昼を頬張っているのは間違いなくグレイである。生み立て卵と締め立て地鶏のフルコースがグレイの周りにこれでもかと並べられている……そうか、これが目的か。

 その見事な喰いっぷりに、養鶏場監督も流石にが呆れ顔である。とはいえ、彼も養鶏場の監督。鳥好きに悪人はいないをモットーに勤続既に20年。量では負けるが、質で勝負の43歳妻子持ち。

 

「こほん。そんなことないですよ」

 

 口の中のものを嚥下して、言い直すグレイ。

 

「まあ、色々やって来ましたからねえ。今日はとりあえず、生コンを流し込むまでですね」

「そうですか。じゃあ私はそろそろ作業に戻り……」

 

 すると、監督の科白を遮るかのように、大きな音が響いてきた。

 

「今の音は……」

「大変だあぁっー!」

 

 そして、監督の下に走ってくる男……って。

 

「げ」

「うわ」

 

 その男の後から。

 

 コケコケコケコケ。

 

「さっきの振動で弱くなってた壁が崩れて、鶏が逃げ出しましたあああ!!」

「「見れば分かる!!」」

 

 コケコケコケコケ。

 

「ぐ、グレイさんどうします!? 尋常な数じゃないですよ!」

「うーん、工事の人間を割く余裕はない……かと言って増員を要請する訳にもいかんし……」

 

 ぶつぶつ言っている間に、コケコケ言いながら近づいてくる雌鶏達……100匹は下るまい。

 

「しょうがない、私がなんとかします。監督はこれ以上の流出を防いで下さい!」

「は、はいぃっ!」

 

 監督は壁が崩れた鶏舎へ。そしてグレイは自身が乗ってきたクロウラーに向かう。

 

「くそっ、こんなこともあろうかと、何か持ってくりゃ良かった!」

 

 ぶつぶつ言いながらグレイはネクタイを外し、上着を脱いでクロウラーの後部ハッチに放り込む。

 

「こうなりゃ、全羽丸焼きにして売っ払っちまうか……いや、売る前に俺の理性がもたんな」

 

 ……そこまで好きなのか。

 それはともかく、グレイは一応持ってきたサブマシンガンを引っ掴み、雌鶏の集団へと迫っていった。

 

「これで誘導すればなんとか……」

 

 タタタタタ、と軽快な音を立てて、集団の先頭のやや先に着弾させる。すると、それにびっくりしてか、一斉に方向を変えて再び走り出す。

 

「よし、良い感じだ」

「おう、あんちゃん。頑張れよ〜」

「まかいときっ」

 

 型枠を組み終えて、生コンの到着待ちで一服つけている作業員の皆様からやんやと声が掛かる。手伝って貰えば良いものを、グレイは余計な仕事を押しつけるのを忌避した。何故なら、自分も嫌だから。

 

 タタタタタ、コケコケコケ。

 タタタタタ、コケコケコケ。

 

 何とか一つの塊には出来たものの、なかなか鶏舎の方へ進んでくれない雌鶏達。

 

 タタタタタ、コケコケコケ。

 タタタタタ、コケコケコケ。

 

「く〜〜〜〜〜っ」

 

 流石のグレイもいらいらし始めたのか、そんな声を漏らす。もしくは残弾が大分少なくなってきたので焦り始めたのか。

 そして。

 

 タタタタ……カンカンカンカン

 

 乾いた音が響き渡る。とうとう弾が尽きたようである。

 

「…………くっ」

 

 追い立てられるものが無くなったのを良いことに、雌鶏達は一段とスピードを上げて、今度は何故かグレイの元へ走り始めた。

 

 コケコケコケコケ。

 コケコケコケコケ。

 コケコ…………コケ。

 

 しかし、グレイまであと1メートルと言った所で、何故か止まる雌鶏達。鳴き声も同様、何故か止まる。

 

「くっ……くっくっくっくっくっ」

 

 膝をつき、がっくりと項垂れたグレイの肩が揺れる……もしや笑っているのだろうか?

 
 
 

 ああ、もし今が夜ならば。そこにいる全てのものが認識したであろう。彼の目が尋常ではない輝きを放っていることに……。

 
 

 ……コケ……。

 

 一歩。また一歩と何故か後退していく雌鶏達。

 

「おーまーえーるぁー」

 

 その見事な巻き舌っぷりよ。そして。

 

「さっさと戻らんと、丸呑みしてくれっぞ、ごるぅぅうあああぁぁぁっ!!!!」

 

 コケーーーーーーーーッ!!!!

 

 怒号一閃。完全に別の意味で飲み込まれた雌鶏達は全速力で鶏舎へと走り去っていく……一羽も残らず。あっぱれ、グレイ。流石は鳥(の味)を知り尽くした猛者よ……。

 

 って、あれ? そのまま追いかけていって……雌鶏達が入りきった後、修復完了した壁に……

 

「ちょ、あんちゃん! 何しよんねん!」

「ぐ、グレイさん、落ち着いて!」

「ぎしゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ」

 コケコケコケコケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!

 
 
 
 
 

 斯くして崩壊箇所の修理と脱走鶏の回収は何とか無事に済んだが……。何故か新しい機械の導入前だと言うのに集卵数は五割増しという驚くべき躍進を遂げていた。

 
 
 
 
 

「いや、あの日から一部の雌鶏達がよ、我先にと卵をすんごい速さで産みよるんさ……まるで一匹でも多く子孫を作らにゃならんと、焦ってるようだったでや」

(某作業員・談)

 

 

岩元 宗様作『漢であるっ!』

 宇宙=ネットと言う現代。

 にゃんにゃん共和国の西に羅幻王国という藩国がある。

 

 今日も今日とて羅幻宮殿。

 平和である。青い空には雲なんて飛んでいる。

 ごく当たり前だが。

 

「これ、どういうことかしら?」

 

 蓮田屋藤乃は報告書を一瞥して言った。

 この国最強の彼女は一度見た書類内容は忘れない。

 ちなみに今日はスーツ姿であり、ナイスなキャリアウーマンにみえる。

 

「これは、その例の増産計画の」

「それは知っているわ。私が立案したプロジェクトですもの」

「はい。完璧な計画です」

 

 ルクスは微笑んだ。

 蓮田も微笑み、そして書類のある一点を指差した。

 

「? 廃棄穀物プラントの……またですか」

「そうらしいわ。これで五回目。機材も何もかもが破壊されたって」

「なんなんでしょうか。まさか根源」

「ストップ」

 

 と、ルクスの言葉をとつぜん蓮田は止めた。

 

「な、なんですか?」

「いや、なにかシリアスっぽいので、違和感があったのよ」

「……確かに最近、ギャグばかりでしたね。疲れて被害甚大の」

「ええ、ギャグばかりで被害が多い」

「…………」

「…………」

 

 二人は管理職にだけわかる微苦笑を浮かべた。

 

「まあ、いいわ。それで原因は分かっているの?」

「それが皆目検討も」

「うーん……それで五回も失敗は痛いわね。よし」

 

 蓮田屋藤乃は報告書に手を置いた。

 

「暇人を集めましょう。いま暇すぎてどうしようもないという人材」

「えっまた暇人ですか?」

 

 ルクスは一瞬だけ嫌な顔をした。

 これまで暇人を集めて良いことなんてひとつもなかった。

 どれもこれも酷い目にあってきた。

 だが変である。蓮田屋藤乃がこれに気付かないはずはない。

 しかも国庫予算が掛かっている。それで気付かないのは有り得ない。 

 

「何を心配しているの? ああ、そうか。大丈夫よ。今までは宮殿内だったわ。

 でも今度は廃棄穀物プラント。それに万が一何かぶっ壊したりしても解体処理の手間が省ける」

「なるほど」

「それに暇人使うだけだから人件費も費用もゼロ。そうゼロよ」

「おお、無駄がない。合理的で経済的。さすがです。ではさっそく暇人を集めます。

 暇で暇でしょうがないほどの暇人たちを」

 

 ルクスは蓮田屋藤乃の優秀さを再確認した。

 彼女が居れば羅幻藩国は安泰だろう。

 
 

「貴方たちは国が誇る優秀なエージェントです。」

 

 ルクスはそうキッパリと言った。

 

「その通りだ。だが少し違う。私は天才のエージェントだ」

 

 白衣を鮮やかに優雅に翻すのはドクター無畏。

 

 そして、またかよ。またこのメンバーかよ。と、長髪ヒゲ長のダンディの羅須侘が項垂れていた。 

 

「はうぁー眼鏡が砂で」 

 

 茉乃瀬桔梗が眼鏡を拭いている。軍服で、腰に下がっているのはMP5だ。

 そしてシノブの姿があった。理知的な猫耳の美少年である。

 

「なんで僕が選ばれたんだろう……」 

 

 そうぼやいている。

 

「砂漠の漢っ!。天上天下にその名を轟かす。これぞ漢道なり!」

 

 そう気合入った声で言ったのはグレイ番長だった。

 サングラスに気合いの入ったガクラン。ベルトではなく荒縄だ。

 靴墨で学帽を塗り、鎖を通している。

 

「漢なら万里の敵を打ち砕け。魂ある限りっ!」 

 
 

 以上、四名が選ばれた暇人……もといエージェントである。

 
 

 廃棄穀物プラントは王宮からそう遠くない場所にあった。

 砂漠の中に黒いボロボロのドームがある。

 

「ここか」

「うむ。そのようだな。天才レーダーも反応している」

 

 ドクター無畏は天才と描かれた黒い奇妙な箱を持っていた。

 なんかピコンピコンとアンテナ部分が反応している。

 

「聞きたくないが、そのレーダーなんだ?」

 

 羅須侘はため息混じりに聞いた。

 

「天才レーダーだ」

「だから、そのレーダーはなんだ?」

「天才レーダーだ」

 

 羅須侘はベレッタと取り出した。

 ドクター無畏はコホンっと息をつく。

 

「天才に反応するレーダーだ」

「初めからそう言えばいいだろう」

「そう言ったはずだが?」

「漢は一言でいい。だが無言で生きる。それが漢よ!」

「あ、ああ、眼鏡がぁー ううー」

「はぁーなんでボクはこんなところまで来てしまったのだろう」

 

 大丈夫か。この四人。

 

 とにかく四人はプラントの中に入った。

 

 プラントは暗かった。

 もう使われなくなって何十年経過したのか。

 

「うーなんか怖いです」

 

 MP5を構えて茉乃瀬は言った。

 

「こっちだ。」

 

 天才レーダーの反応する方へドクター無畏は指し示した。

 

「おい、大丈夫なのか?」

「うむ。神は信じなくていい。天才を信じろ」

「信じられないんだが」

 

 キッパリと羅須侘は言うと、ドクター無畏は高笑いをした。

 

「いや天才だし」

「でも、あの、天才に反応するということは……この先に天才が?」

「む! なにかおるぞっ!」

 

 グレイ番長が真っ先に反応、すると四人の目の前に巨大な巨大なトウモロコシが現れた。

 まるで巨木であり、どっしりとプラント中央部に居座っていた。

 天才レーダーが反応しまくり。ピコンピコンピコンと凄い反応である。

 

「うるさい」

「あっ」

 

 ドクター無畏は天才レーダーを破棄した。

 

「こ、これは……これはってえ!?」

 

 羅須侘がトウモロコシを見上げると、ハッピートリガーは既に撃っていた。

 さすがである。盛大にMP5がプラントに火を噴く。

 あっという間に銃声が轟いて硝煙が渦巻く。 

 

「ぬうっ、先手必勝か。見事なりぃ!」

 

 グレイ番長。あっぱれと言う。

 二人は逃げたが、腕を組んでその場から動かない。

 凄い。凄すぎるぜグレイ番長。

 

 だが、おや何か様子が変だ。

 あれだけ撃ったのに、硝煙が晴れると、トウモロコシはびくともしていなかった。

 傷ひとつない。無傷でドッシリとしている。

 

「は、あれ?」

「この化け物めっ!」

 

 羅須侘がカッコよくベレッタを撃つ。

 しかし巨大なトウモロコシに全て弾かれた。

 

「な、なんてヤツだ。」

「これが原因だったのか。これでは確かに歯が立たない」

「うむ。まさかこれは伝説のモロコシ帝王! その名も【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】」

「ちょっと待って。なんだそれ!? Aマホじゃねえんだぞっ! しかもなんだ、(笑)って」

「いやー天才に聞かれても」

 

 ドクター無畏は爽やかに微笑んだ。

 

「気に入ったっ! それでこそ漢の中の漢の名よ! 剛力っ!」

 

 いきなりグレイ番長絶賛。

 しかも名前ひとつもあっていない。

 そして、その割れた帽子の縁のサングラス奥にある瞳が輝いた。

 

「だが、漢として、貴様を倒さなければならないっ! それが漢である!」

 

 と力強く言って、グレイ番長構えた。

 拳に魂と根性と力を込めて、数歩で近づき振り下ろす。

 

「魂漢の拳っっ!」

 

 その瞬間、凄まじい音がした。金属を叩いたような音だ。

 そしてなんと【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が揺れた。

 

「きゃあっ!」

「うわぁ!」

「な、なんだ」

「魂の叫びは漢の叫びっ! 三千世界の果てへと飛ぶ拳よっっ!」

「グレイ番長っ!?」

 

 みんな驚く。

 ここにグレイ番長VS【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が始まった。 

 

「さすがは漢。それでこそ漢よっ! ならば」

 

 グレイ番長。笑って、構えた。腰を落として右拳を突き上げる。

 

「漢の中の漢としてっ! せいっ! 魂揺るがす熱血心っ! しゃあっ!

 番長永遠に不滅ですっ! この拳が、この魂が、その全てが、我が漢の極み道なりぃっ!」

 

 右拳に信じられない力が集まり始まる。

 

「漢っ!! だっしゃああああああああああああぁぁぁっっっ!!」

 

 グレイ番長の【ただひとつの漢としてのけじめというか、ロード・オブ・魂・拳】が放たれた。

 それは【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】を貫く。

 その結果、この廃棄プラントを支えがなくなり…………崩れてきた。

 

「うわあぁっ!」

「く、崩れる。逃げるぞっ!」

「はにゃー眼鏡がぁっ!」

「天才ダッシュっ!」

 

 一目散に撤収する三人。

 そして地響きと瓦礫の中で腕を組み、グレイ番長は吠えた。 

 

「これぞっ! これぞぉっ! 漢であるっっ!」

 

 数分で廃棄穀物プラントは崩壊した。 

 
 

 後日。

 羅幻宮殿。 

 

「なるほど。そんな穀物が」

 

 蓮田屋藤乃は微笑んだ。報告書を読み終わり、コーヒーを口にする。

 

「はい。その伝説穀物が全ての元凶でした。」

「硬度はメタルリーフの数百倍…………で、それを素手で?」

「はい。グレイ番長ひとりの拳で」

「……まあ、いいわ。とにかく予算ゼロで終わったから」

 

 蓮田屋藤乃は優秀だった。ものすごく引っ掛かるが、それを無視した。

 

「これで増産計画が進めるわね。」

「はい」

 
 

「これにてぇっ! 一件落着であるっっ!」

 

 グレイ番長は夕陽の砂漠で腕を組み、そう叫んだ。

 
 

『劇幕!』

 

 

グレイ様作『スーナーミミズ!』

 砂漠。

 

 砂漠地帯の国なのだから、当然砂漠はある。

 食料増産の命を受け、今現在の体勢の見直しは勿論のこと、新規開拓に着手するのは当然と言えば当然であろう。そこで目をつけられるのは、その土地の広さでは圧倒的な砂漠である。とはいえ、砂漠で出来る作物は限られているし、量的にも予算的にも問題がある。

 そこで立ち上がった……というか、無理矢理その難関に放り込まれたのがこの三人。

 

「……まあ、やれと言われれば努力はしますけど」

 

 暑い日差しの下、何故か黒のスーツ姿の男がフライドチキンをもしゃもしゃやりながら、目前に広がるでっかい砂漠を見つめていた。この度、蓮田屋参謀の手腕により、半ば無理矢理羅幻王国のスタッフに組み込まれたグレイである。

 

「いや、グレイさん。なんで俺なんすか」

 

 その横でやる気のなさそうにへちゃっと座り込んでいるのは岩元宗。前回のゲート探索で銀行強盗の濡れ衣を着せられかけた男である。

 

「え? いや、俺が選んだんじゃないぞ。国王陛下の推薦状が蓮田屋さんから廻ってきただけだぞ?」

「……ちょっと見せて貰えます?」

「宗君より、僕を選んだ理由が分かりませんよ」

 

 そう言って岩元と同じくあぐらをかいて不満そうに呟いているのはシノブである。

 

「大体、グレイさんと僕達って、今回が初仕事ですよね? なんで……」

「いや、シノブ君もこれ見たら分かると思うんだけど」

「ぐあっ」

 

 頭を抱えてシノブに推薦状とやらを渡す岩元。見たくもなかったが、しょうがないので渋々それにシノブが目を落とす。

 
 
 

『すいせんじょー♪

 

 グレイさん、今回の砂漠地帯土壌改良調査には、下記の二名をご招待してあげてね☆

 

 岩元 宗:前回の冒険が物足りなかった様子。がっつり満足させてあげてね。

 

 シノブ:うっかりさんだけど、頑丈な人なんだ。グレイさんと違うタイプ。一点集中型だから、上手に使ってあげて。

 
 

 頑張ってね〜、朗報を期待して待ってるにゃん☆ 』

 
 
 

「ぐあっ」

「……いや、これがちゃんとした推薦理由かと、俺も頭をひねったんだけどな」

「もうひとひねりしようよ! グレイさん!!」

「ああ、元からない体力がもう根こそぎ奪われた気がする……」

 

 ぽかんとするグレイを尻目に、頭を抱える二人であった。

 
 
 

          §          §          §

 
 
 

「で、どうやるのか、アテはあるんですか?」

 

 ぶうたれ口調の岩元。さっきからずっとこの調子である。

 

「そうですね、大抜擢された人の展望をお伺いしたいですね」

 

 一方どうにも言葉に刺のあるシノブ。既にグレイは「嫌いな奴リスト」に登録されたらしい。他にどういうメンツが書かれているかはここでは言えない。察していただきたい。

 

「いや、まあ。こういうのはパターンがあるんだけどね」

 

 そう言いながらグレイが説明した作戦はこうである。

 砂漠、と言ってそのど真ん中でいきなり土壌改良なんて全く持って無謀である。そこで、普通の土壌から砂漠へと変わる、その変わり目から徐々に拡げていくとう方法だ。

 砂を除去していって、下方にある土層もしくは岩盤を露わにし、基礎コンクリートを流し込んでから改良土や腐葉土等を積み上げていく、という寸法である。

 

「で、これから俺達のやることは、砂の層が比較的薄い部分の平米と、必要な土量の割り出し」

「へえ、なんて言うか、至ってまともな作戦だ」

 

 関心しきりといった風で頷く岩元……というか、今までどんな作戦に従事していたのだ、君は。

 

「でも、これって俺達じゃなくても出来る作業ですよね?」

 

 すでに茨級の攻撃力である。手に持った図面を忌々しそうに睨んでいた。美形なだけに、とっても冷酷に見えるのは果たしていいのか悪いのか。

 

「うん、俺もそう思って、普通に作業員の方々でいいって上申したんだけどね」

「「!」」

 

 グレイの発言に、ぴくりと耳を立てる二人。どうやら身に覚えがありすぎるらしい。

 

「グレイさん、それどこに上申しました?」

「ああ、かちゅーしゃ前摂政だけど」

「「…………」」

 

 その名を聞いた二人は、グレイから少し離れたところで円陣を組む。

 

「なあ、どう思う? 俺は嫌がらせに300」

「その裏をかいて、一般作業員じゃどうにもならない事が隠されているに500」

「どうした、二人共。そろそろ始めるぞぅ」

 
 
 

          §          §          §

 
 
 

「Dブロック探査完了。使用可能範囲57%です」

「OK、次に行こうか〜」

「了解ー」

 

 砂漠に入った辺りをビデオカメラのようなものを片手にほてほて歩く岩元。そこから送られてきた画像なのか、それを片手で持ったノートPCで処理するシノブ。グレイは停めてあるクロウラーの近くでデスクトップPCを展開し、シノブのPCから入った情報を使用して測量ソフトを走らせていた。

 

「うん、この辺りは結構いけるみたいだな。俺達が来る前に下調べとかしてたのかな?」

 

 現在の所、使用可能な土地は結構な平米数にのぼる。正直グレイはここまで成果を得ることは考えていなかったようだ。

 

「あり得ますよ……ある条件下でしたらね」

「ある条件下?」

「はい」

 

 沈痛そうな表情を浮かべるシノブである。美形なだけに、その憂鬱っぷりはかなり様になっている。

 

「今回の仕事が、蓮田屋参謀でなく、国王陛下もしくは前摂政からのものであるならば」

「ど、どわあああああああああああああああああああっ」

「どうも、あり得たようですね」

 

 響いてくる岩元の悲鳴に、自分の主張が正しい事が認められて微笑する。美形なだけに……以下略。

 

「僕達をギャグのズンドコに陥れる為なら、あの人達は労力を惜しまない!!」

 

 拳を握って力説……いや、ズンドコって何だよ。

 

「いわもとぉぉぉおおお!!」

 

 そんなシノブを尻目にグレイは岩元の状況を確認する……現在、岩元の位置は自分達より約5メートル上空。足場がしっかりしていないのか、ふらふらしている。  その足元を見てみる。

 

「「うげ」」

 

 何故かハモるグレイとシノブ。二人共もの凄く嫌そうな顔である。それはそうであろう、岩元を押し上げている、砂にまみれたその物体は……全長10メートルはあろうかという、巨大なミミズだったのだから。

 

「スーナーミミズか……でかいとは聞いていたけど、こんなにでかいなんてな……」

「いや、どう考えてもでかすぎですよ、これ」

「グレイさん! ちょ、これっうわっ高っ! 怖っ!」

 

 今、そのミミズは鎌首をもたげるように半ば立ち上がっており、不幸にも岩元はその頂点あたりにいるのである。

 

「くっそ、戦闘服持ってくりゃ良かった!」

「いや、やめて下さい。それだけは」

 

 シノブが間髪入れずに突っ込みを入れる。確かに彼が戦闘服を着ると解決はしそうだが、もっと酷い結末が待っているように思えたから――それはまた別の所で語られるであろう。  すると、突如巨大ミミズが身じろぎ。その予想不能な動きに岩元は……

 

「わあああっ!」

 

 ツルッと。まさにツルッとという擬音がピッタリの滑り方をして、岩元は落下を始める。その高さ、既に7メートル強。

 

「「!!!!」」

 

 どこから取り出したのか、2メートルはあろうかというバールのようなものを取り出して駆け寄ろうとしたグレイも、何とかクロウラーで体当たりとかできないかな、と首をひねっていたシノブも。

 岩元の落下を目の当たりにして硬直した。

 
 
 

          §          §          §

 
 
 

「ふわあ〜正直、死ぬかと思った〜」

 

 未だにふらふらとしている岩元。落下先が幸いにも、地面近くに横たわっていた別の巨大ミミズの上だった為、ポヨンと跳ねて地面に到着。急いで駆け寄ったグレイがそのバールのようなものの先っちょで引っ掛けて回収、現在に至るのであった。

 

「しかし……どうします? グレイさん。これ……」

「うーん、そうだなあ……」

 

 目の前には、もう大小含めて何十匹という巨大ミミズがダンスしていた。どうも先程砂漠に向けて砂層の探査で照射していた電磁波の影響のようだ。

 

「あ、そうか。確かスーナーミミズって……」

「何か考え浮かびました?」

「う〜くらくら〜」

 
 
 
 
 

 そして三日後。そこには巨大な食用ミミズプラントが出来、国民の栄養を裏から支える存在になったという……。

 
 
 
 
 

「さすがにステーキとかはあれだから、タンパク質とかを抽出して携帯食料とかに」

「……ますます携帯食料が嫌いになりましたよ、僕」

「喰う度に目が回りそうだ……うっぷ」

 

 

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Last-modified: 2017-06-19 (月) 21:10:07 (153d)