周辺環境です。
羅幻王国と周囲の国々を繋ぐ交易路である。
海路・空路が整備されている羅幻王国であるが、陸路はその利便性と費用対効果性の観点から、やはり王国にとって重要な交易路の一つである。
砂漠地帯を延々と伸びる道路は生体素材によって構築されており、周囲と太陽光の熱を変換し気温を下げる役目も負っている。
これは砂漠という過酷な環境においても安定した流通を確保するための試みであり、これの生成技術は羅幻王国にのみ存在する。
周辺諸国からは技術開示が求められているが、羅幻王国は技術保持の理由からそれに応えず、その代わり、ほぼ通常建築材と同じ値段での生体素材提供を行っている。
また、普段はただの道路であるが、有事にはマザーセルからの指令により、その硬度と形状を変化させ、交易路破壊工作に備えるのと同時に、即席の滑走路の役目も負うこととなっている。
なお、業者が利用するにあたり、官民を問わず利用料の徴収は行っていない。
これは、技術国である羅幻王国において製品の材料となる資源の流入を促進すると同時に、同国からの輸出の障害を減らすという目的の為である。
昼夜を問わず行き交う大型・小型の輸送機械は、その多国籍性と相成り、周辺住民に親しまれている。
勿論運送経路のみではなく、旅行者の手軽な交通路としても愛されている。
市街地の付近では点々と宿泊街が存在し、旅行者の足を休める大事な施設となっており、さらに羅幻王国の国民にとっても、様々な国から訪れる多種多様な人々は、自分たちに外部の文化や風習、娯楽や知識をもたらすものとして愛され、大事にされている。
なお余談ではあるが、長期間定期的に観測を続けると、微妙に道路の形状が変化しているのが分かる。
これは刻一刻と変化する砂漠という環境に対し常に最適の形状を取るようにプログラミングされているからであり、この可変性・可溶性が逆に道路としての安全性、信頼性を高めるのに一役買っている。
(撮影:かちゅーしゃ様 設定:四条あや様)
広大な砂漠地帯を北部に抱える羅幻王国にとって、蜃気楼とは特に珍しくも無い自然現象である。
交易路に用いられる生体素材や点在する食糧生産施設による環境改造の結果、自然のままの砂漠よりよほど温暖な気候になっており、本来であれば蜃気楼が発生するような気象条件を満たしていないのだが、そんな事実は何処吹く風とばかりに毎日のようにそれは空間に投影されている。
観測されるのは多くが昼間であるが、ごくまれに夜間にも投影が観測され、その蜃気楼が通常とは異なるメカニズムで出現していることを消極的にも、確実に証明している。
羅幻王国で観測される蜃気楼が自然のものとは異なるという証明は、ある一点においてより明確に証明されている。
本来蜃気楼とは空気の歪により見えぬ筈の像が空中に結ばれることであるが、それはあくまで光の屈折がもたらす虚像であり、その元となる風景はきちんと実在している。
しかし羅幻王国で観測される蜃気楼に映し出されるのは、今現在の風景ではなく、過去の羅幻王国の風景なのである。
どの程度過去の像が結ばれるかということは定かではないが、統計的に数年前から数十年前の風景が映し出されることが多い。
また、都市伝説の1つとして、この蜃気楼は過去だけでなく未来をも映すと言われており、観光地の話題に華を添えている。
この不可思議な現象はそのメカニズムも原因も判明していないが、それそのものの珍しさも手伝い、羅幻王国を代表する観光スポットとなっている。
ただ、極希にではあるのだが国の南側、つまり海岸沿いから水平線に至る所に、本当の意味での、まさしく本物の蜃気楼が現れる。
しかし、多くの観光客や、下手をすると地元の住人までもがその本物の蜃気楼さえも、過去の映像だと勘違いしてしまっていることが時折ある。
しかし、一部の信心深い年寄りや事情を理解している住人はこの蜃気楼を吉兆としてとらえており、現れた時にはその蜃気楼を見ながら大喜びして、それに向かって熱心に祈りを捧げている。
(撮影:寛様 設定:四条あや様)
羅幻王国に古くから存在する住宅街の一つ、水冷街である。
技術大国として進化し、住居も近代化しつつある国ではあるものの、羅幻王国には現在も古くからの住居が多く存在し、観光地として旅行客の目を楽しませている。
砂漠の国家であるため、天候が良ければ猛暑となる羅幻王国の昔ながらの知恵がふんだんに取り入れられており、街の隅々にまで水が流れる仕組みとなっている。
なお、この水は地下水源から元は流れており、現在は浄水施設から来た水が、街を潤す。 この水はかつて、生活用水としても使われており、現在でも各所にて調理等に使用されている。
さらに、この街は国内の気温をわずかにでも緩和する仕組みが取り入れられているおり、さらに、砂漠からの砂の侵入を防ぐために窓が小さくなっている事も特徴であるが、シールド設備の技術向上により、段々と窓を開けて風のみを入れる事が可能になりつつある。
その住居の基本的材質は主に砂と岩であり、周辺環境において大量に存在する資源が、見事に人の手で加工、組み合わされており、さらにはそれのみで組まれた芸術的価値の高い巨大な建築物等が所々に存在する等、現在では歴史的な遺産としての価値が非常に高い。
さらに、近代住宅よりも家賃などが格安ともあって現在も国民が数多く暮らし、他にも観光客目当てや遺産の風景を楽しみに来た他地方の国民等を相手に旅館やパブ、土産物店なども多く軒を連ねている。
なお、街の構造は迷路のように入り組んでおり、昔は敵軍の侵入時には防衛手段として役立っていた。
今でも、観光客は地図を持たずいると迷子になってしまうことが常で、原住民でも迷ったりする者がごくたまに出たりする。
現在は保存地区とされており、改築、開業、その他等が厳しく制限されており、ここで開店等をするためには、前店舗の者からの引き継ぎが必要であること、地域の美化の徹底義務化、美観保護の為の補修金貯蓄、水を汚した者に対しての厳罰化など、多くの条例とさらに法律によって、遺産と美観とが護られている。
他にも、羅幻王国には独自の街が存在するが、いずれも観光地化をされており、砂と海の国である羅幻王国の華の一つともなっている。
(撮影:寛様 設定:シノブ様)
羅幻王国北部の砂漠に点在する自然の泉である。
羅幻王国の技術力をもってすれば人工的にこのような場所を作り出すことは容易であり、実際、砂漠地帯の食糧生産施設などは砂漠に畑を開いた最たる例である。
が、実際には、これらのオアシスに人の手は加えられていない。あくまで自然が自然のまま、このような穏やかな風景を過酷な砂漠の中に作り出しているのである。
上水道設備が整う以前の時代は、砂漠地帯で集落を組んで暮らす者たちがこのオアシスから水を引き生活用水として利用していた。
最近ではもうそのような風習は残っていないが、それでも海に面し、水というものに対し飽和的なイメージを抱いている沿岸部の人間に比べ、内陸部に暮らす人間たちは当然のごとく水を貴重なものと考え、そんな水が自然に湧き出すオアシスを憩いの場所として捉えるのと同時に、ある種神聖的な場所であるとも受け止めている。
過去に何度か、オアシスにも手を加えその面積をより広くしよう、という運動が無いでは無かったが、実際にはそれらの計画は実行されずに全てが潰えている。
その理由は諸説囁かれているが、一番説得力のある理由は、オアシス周辺に自生するある種の香草の存在である。環境の変化に酷く弱い香草であり、多少の環境変化にも耐えられず死滅してしまうらしい。
この香草に関しては栽培技術が未だ確立しておらず、採集は天然ものに限られている。
とりわけ需要のある香草という訳ではないのだが、あらゆる食材にさりげない香りをつける香草として、特に知識階級ではそれなりの知名度を持っている。
また、砂漠地帯に点在するオアシスは、それだけで輸送業者や旅行者にとっての憩いの場所に成り得るものである。野生動物が水を求めて訪れることも多いし、砂漠を長く移動する者にとって、普段節約しなければならない水を存分に使用できるオアシスの存在は、特別手を加えずとも十分に貴重なものなのだ。
なお、故意にオアシスを汚染した者、汚染しようとした者に対しては、宮廷からその権限を委任された警邏隊の手により重い罰則が課せられる。
(撮影:比月コウ様 解説:四条 あや様)
羅幻王国の海の玄関口である。
商業区域にほど近い岸壁では、大小形式を問わず様々な国籍の船が接岸しており、昼夜を通じて荷の積み上げ、積み下ろしが間断なく行われている様は、まさに海上物資輸送の活気を表している。
陸に積み上げられた資材は、沿岸に沿うように広がる工業地帯へ直に運ばれ、羅幻王国が誇る高度な技術力に裏打ちされた最新鋭の工場設備にて、多種多様な製品へと加工され、高付加価値化されて生まれ変わるのである。
その一方で、食料品を初めとした生活物資や各種貴金属類、各国よりかき集められた様々な特産物流通の一大集積地としても知られ、その為、沿岸部には政府の中枢機能ほぼ全てと人口の7割が集中している。
また貿易だけではなく、漁業資源・鉱業資源の獲得にも盛んに利用されており、豊富な海洋資源を有する大陸棚と相成って羅幻王国の高水準の食料自給率、及び鉱工業の資材自給率に一役買っている。
水揚げされた魚や、採掘された鉱物資源はほぼ全て国内で消費されるが、共和国内でも希少な魚種や羅幻藩国を主な産出地とするレアメタルなどの一部はそのまま、あるいは高度な高付加価値加工を施された商品として国外へと輸出されている。
貿易港に隣接した、商工業地域を少し離れた一帯には、職人気質の個人経営のものから、数千人の作業員が3交代制を組んでフル稼働しているような巨大なものまで、大小様々な造船所が軒を連ねており、個人用小型船舶から大量人数収容可能な豪華客船、あるいは空母まで、実に幅広い種類の船が日々製造されている。
造船業はアイドレス製造業に次ぐ羅幻王国の花形産業であり、国内だけでも企業間競争がかなり激しいが、それ故に多種多様な技術・素材開発が行われ、基本性能は元より、特化性能も高い。
貿易港は、空路や陸路の交易路と共に羅幻王国の経済上・交通上重要な生命線であるため、その防衛と維持には多くの予算が割かれている。
例えば、沿岸部には海空軍隊の駐屯基地が存在し、対艦、対ミサイル用の装備が常時配備されているほか、各種レーダー・ソナーにての艦船の監視・索敵が行われている。
また、港内は定期的に小型の巡視船が警邏を行っており、港外の沖合いでは海軍の巡視船が高々度航空偵察機と連携をとりながら、港外からの脅威に備える体制が整えられている。
(撮影:ぱんくす様 解説:四条あや様)
(撮影:寛様) 羅幻王国の教育施設。
羅幻王国は技術立国国家であり、そのレベルを維持するために教育にも多額の国家予算が配分され力が入れられている。
予算だけでなく、「年少時からの経験こそ最大の技術なり」との考えから各学校にナノマシンや先進技術の工房の設置が義務付けられ、学生時代から各技術に対する研鑽を受けられるようになっている。
基本的には6歳からの6年間の初等教育と、12歳からの3年間の中等教育が義務付けられている。
合計9年間の義務教育が必須とされるが、実際には飛び級を広く認めており、実際に9年間の教育を経ずとも卒業試験をパスすれば義務教育を終えたと認識される。 また、本人が望む場合は中等教育の代わりに、王家が認定した技術工房での労働を選ぶことが出来る。
技術者の社会的地位が高いことも手伝い、これを選ぶ子供は毎年一定数存在する。 各学校一つづつの規模としてはそれほど大きくはないが、その代わりに近い間隔で多数の学校が配置され、学校ごとの交流も盛んで先端技術、スポーツなどの分野でレベルを高めあう結果となっている。
技術部門での優秀者には有名工房や国家機関への就職が約束されるため、こちらの道を選ぶものも多い。
義務教育終了後も勉学を志す者のための国立大学も存在する。
こちらは数こそ少ないものの、よりレベルの高い教育、技術指導を受けられる上、最新技術の研究も盛んなこともあって人気は高い。
特に専門技術職や国の重要産業である造船技術、レアメタル生産技術における最新技術の研究分野は盛んで、より高い技術には国家から予算が配分され、最終的に国民生活などに反映される。
また、これらとは別に食料生産産業事業主による私立大学も存在する。
こちらは砂漠という国土を見越した食料生産産業での技術革新を目的としており、その分野での出世を目指す者、生産部門の親を持つ者などが入学する。
耕地としては向かない砂漠での食料生産は困難を極めているが、事業主を中心として最新技術を産み出しそれを克服している。