(撮影:ごまる様)
(撮影:りあ様・ぱんくす様)
羅幻の港に一人の女性が立っていた。
風変わりな軍服に身を包み、活気に溢れる港を見つめている。制帽の下の眼光は鋭く、右手の先には古風な万年筆が踊っていた。
そこは港全体が見渡せる、羅幻国民の憩いの広場のようなところであった。当然、カップルや散歩を楽しむ人など、一般人も多くいる。
その中で、いかめしい顔をしながら港を見つめるこの女性はそんな憩いの場に相応しくない「異質」であった。
そこに新たな「異質」がやってくる、現れたのは羅幻王国の公用車である。SPが現れ、人々がざわつき始める。車内から出てきたのは一人の妙齢な女性、それを見て周りは更にざわめく。
それもそのはず、その女性は羅幻王国の高級官僚の一人で『知略の淑女』『謀略の魔女』などと呼ばれる蓮田屋藤乃だったのである。
蓮田屋は脇を固めようとするSPを手で留めて一人、女軍人に近寄っていく。ぴたり、と5mほど後ろに立ち止まるとよく晴れた空を仰ぎ、一呼吸入れてから話しかけた。
「いかがです?」
「悪くはないね、新造にしてはなかなかの港だ、息子に見せてやりたいね」
手馴れた手つきで万年筆を胸ポケットに仕舞うと振り向いて腕を組み、制帽の下から片目だけで羅幻の女軍師を見た。
「しかし、アンタも物好きだねぇ、アタシに海軍任そうなんてさ、せっかく新しく作ったんだ、もうちょっとマシな人選がありそうなもんだが」
「私は名より実をとるのが好きなのです、そして貴女が適任です、エリザベス・リアティ」
「無茶やってぶっ壊しちまうかも知れないよ?」
「構いません、それに見合った対価があれば」
二人の間で、視線がぶつかる。永遠とも思える一瞬の後、エリザベスはふっ、と頬を緩ませた。
「まあいいだろう、お世話になるとするよ」
「宜しくお願い致します、ではこちらに」
蓮田屋が公用車に先導し、エリザベス共々、車中の人となる。公用車がするすると滑り出し、広場から出て行くと息を潜めていた人々からほうっ、とため息が漏れた。緊張感が解け、広場は再び憩いの場としての機能を取り戻す。
しかし歴史の現場を見た高揚感はその場所に残り、人々は口々にあの人物は何者だと噂しあっていた。
それが判明したのはこれより数時間後である。
〜数時間後〜
「午後6時のニュースをお知らせしますにゃ」
ここは羅幻王国のラジオ放送局である、Aラジスタジオである。
ブースにはニュースの原稿と格闘する、ごまるの姿があった。ブースの外、コンソールルームでは「にゃ、はやめなさい」とカンペを出すルクス宰相ディレクターと、タバコをふかして笑いながらそれを見ているAラジきってのパーソナリティ、ウチガネカケルの姿がある。
「にゃ? は駄目なん兄者、え? 私語はだめ?」
がっくりとうなだれるルクス、大爆笑のウチガネ。
「もーよくわかんないなぁ、まあいいやぁ、ニュースを続けますっ、えーと、本日、羅幻海軍の指揮官が決定しましたぁ〜、おお、これは大ニュースっ!」
自身の感想も織り交ぜながらニュースを読み進めるごまる。兄の胃痛などおかまいなしである。
「羅幻海軍の初代指揮官は、エリザベス・リアティ氏でーす、めでたやめでたー」
今日も元気にニュースを伝えるパーソナリティ見習い、ごまるであった。
エリザベス・リアティ。
銀色の髪と鋼の精神を持つ女傑。
カリスマ性というよりは親分肌な雰囲気の人物で、誰とでも身分を問わず鷹揚に対話し部下にも慕われる存在である。
もちろん軍人としての指揮能力、特に艦船の操艦技術にかけては右に出るものはおらず、過去には宇宙軍や潜水艦の指揮を取った事もあり、ありとあらゆる艦船の指揮に精通している。幾多の戦闘を潜り抜けてきた経験豊富で度胸満点の、筋金入りの船乗りである。
今回、羅幻王国の軍師である蓮田屋藤乃に乞われて、新設された羅幻海軍の指揮を取ることになった。
よく彼女がくるくると廻している万年筆は夫の形見であり、廻すのは考え込むときの彼女の癖である。
(設定:蒼凪 羅須侘様)
名称:エリザベス(ACE)
要点: ・太ったおばさん・腕を組んで・豪快
周辺環境: ・ブリッジ
評価: 全能力14
特殊: ・エリザベス・リアティは艦長、ハードボイルド、愛の女神として見なし,これらの持つ全ての特殊が使える。
次のアイドレス: ミズキ・ミズヤ(ACE)、ナイアル・ポー(ACE)・MAKI(ACE)