羅幻王国のエネルギー事情について語るとき決して避けて通れぬものが幾つかある。
　その一つが、沿岸部にぽっかりと口を空け、羅幻王国の地下全体に満遍なく広がっていると言われている洞窟群だ。
　その洞窟の安全性と外交的な問題から、現在も洞窟群は王家の直属管理とされ、ごく限られた者しか立ち入ることを許可されていない。

　なお、同時期に発表されたものとして、洞窟内で発見された希少金属の件が挙げられる。
　洞窟深部で発見されたというそれは解析の結果、高度なエネルギー増幅体であることが判明している。
　いまだ研究の途中ではあるが、ある種の特殊な加工を経たそれを既存のエネルギー生成施設に一定の比率で混在させた場合、そのエネルギー変換効率が跳ね上がるという結果が報告された。

　 また、その報告に対し、件の希少金属の解析を行ったシンクタンクは、加工に際してもまだまだ未熟な点が多く、より正しい加工を行うことが出来たなら、エネルギー増幅率を更に向上させることが出来るだろうという主張を展開している。 　現在採掘されるごく少量のそれらは、主に国営の研究所での研究・開発に用いられている。
　実際に身近なものになるまでどれほどの時間を必要とするかは不明だが、それが普及した時には、羅幻王国のエネルギー事情はまた大きく塗り替えられることは間違いないだろう。