羅幻王国では古来から砂漠の各所に地下から湧く燃える水の存在は知られていた。
 それらは燃水や臭水(くそうず)と呼ばれ、古来より人々の夜の明かりなどに使われていたが、羅幻王国の高度な技術発展に伴い、徐々にその消費量は増大していった。
 それでもまだ、需給バランスは釣り合っており安定した消費生産が行われていたのである。

砂漠の都市

 しかし、I=Dが羅幻王国に導入されてからその状況は一変した。
 これまでの生産力では需給バランスの崩壊が目に見えてきたのである。
 これを受けて、大量の燃料を消費するI=Dの稼動を支えるため、その導入を機に国家を挙げての石油採掘プロジェクトがスタートしたのであった。
 採掘プロジェクトは国土の徹底的な調査から始められた。
 国土が穴だらけになる程大量な試掘井が掘られたが、採算の取れる埋蔵量を有する油田の発見には到らず、計画は一時頓挫したかに思えた。

 その状況が一変したのは、先の戦闘における羅幻王城爆破作戦である。
 敵の攻撃を受けたほうが被害が少なかったのではないかと言われた国土破壊作戦。
 そこで遠くフィーブルまで見えたという大爆発を見た調査団は、廃虚と化した王城並びにその付近を徹底調査することにした。

 国土のほとんどを調査し尽くして、残っているのは王城付近だけであったことと、あまりに爆発の規模が大きく不自然であったことから、一縷の望みを賭けたのである。
 その結果は驚くべきものであった。
 王城の爆心地直下から、これまでの国土全てで産出した総量を遥かに超える湧出量の石油と天然ガスが発見され、埋蔵量も相当のものであるとの調査報告がなされ たのである。
 大規模の爆発はすなわち、埋蔵されていた天然ガスによるものであったのだ。

キャスター神凪の声による説明