食糧生産地
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*食糧生産地 [#se2abb98]
我が国の生命線を支える食糧生産地の一部をご案内致します。
#contents
**『食糧生産地』 [#k5969be6]
#BR
解説
羅幻王国の砂漠地帯に点在する食糧生産施設である。
ネストと呼ばれる中心施設から直径1km程に渡って農地が広が...
#BR
本来農作業に向かぬ砂漠地域で十分な食糧を栽培するため、...
#BR
主な栽培作物は米や小麦といった穀物類である。環境そのも...
#BR
施設の操業は宮廷の認可を受けた事業主が専門的に行ってお...
#BR
この施設によって生産される食糧の欠点としては、味が薄く...
#BR
王室の保有する貯蔵庫には国家備蓄として年間消費量の6割...
#BR
基本的にはなんの変哲もない農地ではあるのだが、砂漠地帯...
なお、時折勝手に品種改良されたらしい変な作物が見つかっ...
……不明だってば。
(記述:四条あや様)
**稲作[#k4a5f5cb]
#br
#hr
#BR
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
#BR
(撮影:茉乃瀬桔梗様)
羅幻王国に稲作ブームが訪れました。
国民の20人に1人は、家の屋上を使って趣味用の水田を開い...
「米作りだにゃー!」
<羅幻王国ニュースヘッドラインより>
#br
#hr
#BR
**食糧生産施設 [#a22c5b94]
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
(撮影:寛様)
#BR
#HR
#BR
**キノコ栽培 [#mccb2fc9]
#br
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
#br
山岳地帯にある、キノコプラントのドーム内では、キノコや薬...
(撮影:上・寛様、下・比月 コウ様 設定:羅幻雅貴)
#br
#hr
#BR
**漁業 [#h6a59f4b]
#br
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
#br
海が近いため、漁業が盛んである。
さらに羅幻王国は魚は貴重なタンパク源であり、猫の好物とも...
「大漁ばんざいだにゃー!」
(撮影:寛様、ぱんくす様 解説:羅幻雅貴)
#br
#hr
#BR
**水田 [#r2f58cd2]
#br
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
#br
(撮影:絢人様 設定:羅幻雅貴)
緑地化プラントではよく見られる風景の一つ。
ここで取れた米の大半が、羅幻王国の国民の台所に並ぶ事にな...
「稲育つにゃ〜♪がんばって美味しいお米やお餅になるにゃ〜♪」
#br
#hr
#BR
**麦畑 [#r2f58cd2]
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
(撮影:寛様 設定:羅幻雅貴)
食糧プラントで見られる風景の一つ。
なお、この風景は麦の収穫である。
ここの麦が様々なモノに加工され、羅幻王国全土へと運ばれて...
「良いのが取れたにゃー!パンにもうどんにもいいにゃー!」
#br
#hr
#BR
**グレイ様作『養鶏場増産!』 [#ic955312]
グレイは今、国立養鶏場に足を踏み入れていた。
その規模的は敷地面積300坪、建物面積200坪に及び、7つの...
#BR
食料増産命令が出た今、主食は勿論のこと、総括的な増産体...
#BR
その職務に真っ先に手を挙げたのが、このグレイである。ま...
#BR
「えーっと、グレイさん、でしたっけ」
#BR
養鶏場の中の様子を伺ったまま、涎を垂らしている馬鹿に声...
#BR
「あ、はいはい。そうですが」
「増産と言ってもですねえ、これ以上となるとやっぱりマンパ...
#BR
その言葉に内部を見渡すグレイ。確かにオートメーション化...
#BR
「いや、まだいけるでしょう。私が見てきた所では、これの二...
「は、はあ。そうなんですか」
「幸い、そこの機械の開発者とツテがあります。直ぐ連絡して…...
#BR
一気にまくし立てるグレイ……ただの鳥好きではなさそうだ。
#BR
「え? でも、肝心の鶏の手配はどうするんですか?」
「いえ。鶏の増加は序々に行きます。購入はせずに、ここで育...
「はあ!?」
「鶏舎を2つ建ててもまだ50坪以上、土地の空きはあります。そ...
#BR
そうこう言ってるうちに、何やら地響きが……それも段々と近...
#BR
「か、監督ー! なんか重機やらダンプやら一杯来てますよー...
「なんですとー!?」
(ニヤリ)
#BR
そう。既に打てる手は打っていたグレイであった。
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
とてかんとてかん。
#BR
早朝から開始された作業であったが、時刻は既にお昼。既に...
#BR
「しかし、なんですね。何でも良くご存じで」
「ほんはほほはいへふひょ」
#BR
そんな作業を見守りながら、花柄の敷物の上でお昼を頬張っ...
その見事な喰いっぷりに、養鶏場監督も流石にが呆れ顔であ...
#BR
「こほん。そんなことないですよ」
#BR
口の中のものを嚥下して、言い直すグレイ。
#BR
「まあ、色々やって来ましたからねえ。今日はとりあえず、生...
「そうですか。じゃあ私はそろそろ作業に戻り……」
#BR
すると、監督の科白を遮るかのように、大きな音が響いてき...
#BR
「今の音は……」
「大変だあぁっー!」
#BR
そして、監督の下に走ってくる男……って。
#BR
「げ」
「うわ」
#BR
その男の後から。
#BR
コケコケコケコケ。
#BR
「さっきの振動で弱くなってた壁が崩れて、鶏が逃げ出しまし...
「「見れば分かる!!」」
#BR
コケコケコケコケ。
#BR
「ぐ、グレイさんどうします!? 尋常な数じゃないですよ!」
「うーん、工事の人間を割く余裕はない……かと言って増員を要...
#BR
ぶつぶつ言っている間に、コケコケ言いながら近づいてくる...
#BR
「しょうがない、私がなんとかします。監督はこれ以上の流出...
「は、はいぃっ!」
#BR
監督は壁が崩れた鶏舎へ。そしてグレイは自身が乗ってきた...
#BR
「くそっ、こんなこともあろうかと、何か持ってくりゃ良かっ...
#BR
ぶつぶつ言いながらグレイはネクタイを外し、上着を脱いで...
#BR
「こうなりゃ、全羽丸焼きにして売っ払っちまうか……いや、売...
#BR
……そこまで好きなのか。
それはともかく、グレイは一応持ってきたサブマシンガンを...
#BR
「これで誘導すればなんとか……」
#BR
タタタタタ、と軽快な音を立てて、集団の先頭のやや先に着...
#BR
「よし、良い感じだ」
「おう、あんちゃん。頑張れよ〜」
「まかいときっ」
#BR
型枠を組み終えて、生コンの到着待ちで一服つけている作業...
#BR
タタタタタ、コケコケコケ。
タタタタタ、コケコケコケ。
#BR
何とか一つの塊には出来たものの、なかなか鶏舎の方へ進ん...
#BR
タタタタタ、コケコケコケ。
タタタタタ、コケコケコケ。
#BR
「く〜〜〜〜〜っ」
#BR
流石のグレイもいらいらし始めたのか、そんな声を漏らす。...
そして。
#BR
タタタタ……カンカンカンカン
#BR
乾いた音が響き渡る。とうとう弾が尽きたようである。
#BR
「…………くっ」
#BR
追い立てられるものが無くなったのを良いことに、雌鶏達は...
#BR
コケコケコケコケ。
コケコケコケコケ。
コケコ…………コケ。
#BR
しかし、グレイまであと1メートルと言った所で、何故か止ま...
#BR
「くっ……くっくっくっくっくっ」
#BR
膝をつき、がっくりと項垂れたグレイの肩が揺れる……もしや...
#BR
#BR
#BR
ああ、もし今が夜ならば。そこにいる全てのものが認識した...
#BR
#BR
……コケ……。
#BR
一歩。また一歩と何故か後退していく雌鶏達。
#BR
「おーまーえーるぁー」
#BR
その見事な巻き舌っぷりよ。そして。
#BR
「さっさと戻らんと、丸呑みしてくれっぞ、ごるぅぅうあああ...
#BR
コケーーーーーーーーッ!!!!
#BR
怒号一閃。完全に別の意味で飲み込まれた雌鶏達は全速力で...
#BR
って、あれ? そのまま追いかけていって……雌鶏達が入りきっ...
#BR
「ちょ、あんちゃん! 何しよんねん!」
「ぐ、グレイさん、落ち着いて!」
「ぎしゃああああああああああああああああああああああああ...
コケコケコケコケーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
斯くして崩壊箇所の修理と脱走鶏の回収は何とか無事に済ん...
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
「いや、あの日から一部の雌鶏達がよ、我先にと卵をすんごい...
(某作業員・談)
#br
#hr
#BR
**岩元 宗様作『漢であるっ!』 [#o0b4f770]
宇宙=ネットと言う現代。
にゃんにゃん共和国の西に羅幻王国という藩国がある。
#BR
今日も今日とて羅幻宮殿。
平和である。青い空には雲なんて飛んでいる。
ごく当たり前だが。
#BR
「これ、どういうことかしら?」
#BR
蓮田屋藤乃は報告書を一瞥して言った。
この国最強の彼女は一度見た書類内容は忘れない。
ちなみに今日はスーツ姿であり、ナイスなキャリアウーマン...
#BR
「これは、その例の増産計画の」
「それは知っているわ。私が立案したプロジェクトですもの」
「はい。完璧な計画です」
#BR
ルクスは微笑んだ。
蓮田も微笑み、そして書類のある一点を指差した。
#BR
「? 廃棄穀物プラントの……またですか」
「そうらしいわ。これで五回目。機材も何もかもが破壊された...
「なんなんでしょうか。まさか根源」
「ストップ」
#BR
と、ルクスの言葉をとつぜん蓮田は止めた。
#BR
「な、なんですか?」
「いや、なにかシリアスっぽいので、違和感があったのよ」
「……確かに最近、ギャグばかりでしたね。疲れて被害甚大の」
「ええ、ギャグばかりで被害が多い」
「…………」
「…………」
#BR
二人は管理職にだけわかる微苦笑を浮かべた。
#BR
「まあ、いいわ。それで原因は分かっているの?」
「それが皆目検討も」
「うーん……それで五回も失敗は痛いわね。よし」
#BR
蓮田屋藤乃は報告書に手を置いた。
#BR
「暇人を集めましょう。いま暇すぎてどうしようもないという...
「えっまた暇人ですか?」
#BR
ルクスは一瞬だけ嫌な顔をした。
これまで暇人を集めて良いことなんてひとつもなかった。
どれもこれも酷い目にあってきた。
だが変である。蓮田屋藤乃がこれに気付かないはずはない。
しかも国庫予算が掛かっている。それで気付かないのは有り...
#BR
「何を心配しているの? ああ、そうか。大丈夫よ。今までは...
でも今度は廃棄穀物プラント。それに万が一何かぶっ壊した...
「なるほど」
「それに暇人使うだけだから人件費も費用もゼロ。そうゼロよ」
「おお、無駄がない。合理的で経済的。さすがです。ではさっ...
暇で暇でしょうがないほどの暇人たちを」
#BR
ルクスは蓮田屋藤乃の優秀さを再確認した。
彼女が居れば羅幻藩国は安泰だろう。
#BR
#BR
「貴方たちは国が誇る優秀なエージェントです。」
#BR
ルクスはそうキッパリと言った。
#BR
「その通りだ。だが少し違う。私は天才のエージェントだ」
#BR
白衣を鮮やかに優雅に翻すのはドクター無畏。
#BR
そして、またかよ。またこのメンバーかよ。と、長髪ヒゲ長...
#BR
「はうぁー眼鏡が砂で」
#BR
茉乃瀬桔梗が眼鏡を拭いている。軍服で、腰に下がっている...
そしてシノブの姿があった。理知的な猫耳の美少年である。
#BR
「なんで僕が選ばれたんだろう……」
#BR
そうぼやいている。
#BR
「砂漠の漢っ!。天上天下にその名を轟かす。これぞ漢道なり...
#BR
そう気合入った声で言ったのはグレイ番長だった。
サングラスに気合いの入ったガクラン。ベルトではなく荒縄...
靴墨で学帽を塗り、鎖を通している。
#BR
「漢なら万里の敵を打ち砕け。魂ある限りっ!」
#BR
#BR
以上、四名が選ばれた暇人……もといエージェントである。
#BR
#BR
廃棄穀物プラントは王宮からそう遠くない場所にあった。
砂漠の中に黒いボロボロのドームがある。
#BR
「ここか」
「うむ。そのようだな。天才レーダーも反応している」
#BR
ドクター無畏は天才と描かれた黒い奇妙な箱を持っていた。
なんかピコンピコンとアンテナ部分が反応している。
#BR
「聞きたくないが、そのレーダーなんだ?」
#BR
羅須侘はため息混じりに聞いた。
#BR
「天才レーダーだ」
「だから、そのレーダーはなんだ?」
「天才レーダーだ」
#BR
羅須侘はベレッタと取り出した。
ドクター無畏はコホンっと息をつく。
#BR
「天才に反応するレーダーだ」
「初めからそう言えばいいだろう」
「そう言ったはずだが?」
「漢は一言でいい。だが無言で生きる。それが漢よ!」
「あ、ああ、眼鏡がぁー ううー」
「はぁーなんでボクはこんなところまで来てしまったのだろう」
#BR
大丈夫か。この四人。
#BR
とにかく四人はプラントの中に入った。
#BR
プラントは暗かった。
もう使われなくなって何十年経過したのか。
#BR
「うーなんか怖いです」
#BR
MP5を構えて茉乃瀬は言った。
#BR
「こっちだ。」
#BR
天才レーダーの反応する方へドクター無畏は指し示した。
#BR
「おい、大丈夫なのか?」
「うむ。神は信じなくていい。天才を信じろ」
「信じられないんだが」
#BR
キッパリと羅須侘は言うと、ドクター無畏は高笑いをした。
#BR
「いや天才だし」
「でも、あの、天才に反応するということは……この先に天才が...
「む! なにかおるぞっ!」
#BR
グレイ番長が真っ先に反応、すると四人の目の前に巨大な巨...
まるで巨木であり、どっしりとプラント中央部に居座ってい...
天才レーダーが反応しまくり。ピコンピコンピコンと凄い反...
#BR
「うるさい」
「あっ」
#BR
ドクター無畏は天才レーダーを破棄した。
#BR
「こ、これは……これはってえ!?」
#BR
羅須侘がトウモロコシを見上げると、ハッピートリガーは既...
さすがである。盛大にMP5がプラントに火を噴く。
あっという間に銃声が轟いて硝煙が渦巻く。
#BR
「ぬうっ、先手必勝か。見事なりぃ!」
#BR
グレイ番長。あっぱれと言う。
二人は逃げたが、腕を組んでその場から動かない。
凄い。凄すぎるぜグレイ番長。
#BR
だが、おや何か様子が変だ。
あれだけ撃ったのに、硝煙が晴れると、トウモロコシはびく...
傷ひとつない。無傷でドッシリとしている。
#BR
「は、あれ?」
「この化け物めっ!」
#BR
羅須侘がカッコよくベレッタを撃つ。
しかし巨大なトウモロコシに全て弾かれた。
#BR
「な、なんてヤツだ。」
「これが原因だったのか。これでは確かに歯が立たない」
「うむ。まさかこれは伝説のモロコシ帝王! その名も【成功...
「ちょっと待って。なんだそれ!? Aマホじゃねえんだぞっ...
「いやー天才に聞かれても」
#BR
ドクター無畏は爽やかに微笑んだ。
#BR
「気に入ったっ! それでこそ漢の中の漢の名よ! 剛力っ!」
#BR
いきなりグレイ番長絶賛。
しかも名前ひとつもあっていない。
そして、その割れた帽子の縁のサングラス奥にある瞳が輝い...
#BR
「だが、漢として、貴様を倒さなければならないっ! それが...
#BR
と力強く言って、グレイ番長構えた。
拳に魂と根性と力を込めて、数歩で近づき振り下ろす。
#BR
「魂漢の拳っっ!」
#BR
その瞬間、凄まじい音がした。金属を叩いたような音だ。
そしてなんと【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が揺れた。
#BR
「きゃあっ!」
「うわぁ!」
「な、なんだ」
「魂の叫びは漢の叫びっ! 三千世界の果てへと飛ぶ拳よっっ...
「グレイ番長っ!?」
#BR
みんな驚く。
ここにグレイ番長VS【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が...
#BR
「さすがは漢。それでこそ漢よっ! ならば」
#BR
グレイ番長。笑って、構えた。腰を落として右拳を突き上げ...
#BR
「漢の中の漢としてっ! せいっ! 魂揺るがす熱血心っ! ...
番長永遠に不滅ですっ! この拳が、この魂が、その全てが...
#BR
右拳に信じられない力が集まり始まる。
#BR
「漢っ!! だっしゃああああああああああああぁぁぁっっっ...
#BR
グレイ番長の【ただひとつの漢としてのけじめというか、ロ...
それは【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】を貫く。
その結果、この廃棄プラントを支えがなくなり…………崩れてき...
#BR
「うわあぁっ!」
「く、崩れる。逃げるぞっ!」
「はにゃー眼鏡がぁっ!」
「天才ダッシュっ!」
#BR
一目散に撤収する三人。
そして地響きと瓦礫の中で腕を組み、グレイ番長は吠えた。
#BR
「これぞっ! これぞぉっ! 漢であるっっ!」
#BR
数分で廃棄穀物プラントは崩壊した。
#BR
#BR
後日。
羅幻宮殿。
#BR
「なるほど。そんな穀物が」
#BR
蓮田屋藤乃は微笑んだ。報告書を読み終わり、コーヒーを口...
#BR
「はい。その伝説穀物が全ての元凶でした。」
「硬度はメタルリーフの数百倍…………で、それを素手で?」
「はい。グレイ番長ひとりの拳で」
「……まあ、いいわ。とにかく予算ゼロで終わったから」
#BR
蓮田屋藤乃は優秀だった。ものすごく引っ掛かるが、それを...
#BR
「これで増産計画が進めるわね。」
「はい」
#BR
#BR
「これにてぇっ! 一件落着であるっっ!」
#BR
グレイ番長は夕陽の砂漠で腕を組み、そう叫んだ。
#BR
#BR
『劇幕!』
#br
#hr
#BR
**グレイ様作『スーナーミミズ!』 [#lbd9674e]
砂漠。
#BR
砂漠地帯の国なのだから、当然砂漠はある。
食料増産の命を受け、今現在の体勢の見直しは勿論のこと、...
そこで立ち上がった……というか、無理矢理その難関に放り込...
#BR
「……まあ、やれと言われれば努力はしますけど」
#BR
暑い日差しの下、何故か黒のスーツ姿の男がフライドチキン...
#BR
「いや、グレイさん。なんで俺なんすか」
#BR
その横でやる気のなさそうにへちゃっと座り込んでいるのは...
#BR
「え? いや、俺が選んだんじゃないぞ。国王陛下の推薦状が...
「……ちょっと見せて貰えます?」
「宗君より、僕を選んだ理由が分かりませんよ」
#BR
そう言って岩元と同じくあぐらをかいて不満そうに呟いてい...
#BR
「大体、グレイさんと僕達って、今回が初仕事ですよね? な...
「いや、シノブ君もこれ見たら分かると思うんだけど」
「ぐあっ」
#BR
頭を抱えてシノブに推薦状とやらを渡す岩元。見たくもなか...
#BR
#BR
#BR
『すいせんじょー♪
#BR
グレイさん、今回の砂漠地帯土壌改良調査には、下記の二名...
#BR
岩元 宗:前回の冒険が物足りなかった様子。がっつり満足...
#BR
シノブ:うっかりさんだけど、頑丈な人なんだ。グレイさん...
#BR
#BR
頑張ってね〜、朗報を期待して待ってるにゃん☆ 』
#BR
#BR
#BR
「ぐあっ」
「……いや、これがちゃんとした推薦理由かと、俺も頭をひねっ...
「もうひとひねりしようよ! グレイさん!!」
「ああ、元からない体力がもう根こそぎ奪われた気がする……」
#BR
ぽかんとするグレイを尻目に、頭を抱える二人であった。
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「で、どうやるのか、アテはあるんですか?」
#BR
ぶうたれ口調の岩元。さっきからずっとこの調子である。
#BR
「そうですね、大抜擢された人の展望をお伺いしたいですね」
#BR
一方どうにも言葉に刺のあるシノブ。既にグレイは「嫌いな...
#BR
「いや、まあ。こういうのはパターンがあるんだけどね」
#BR
そう言いながらグレイが説明した作戦はこうである。
砂漠、と言ってそのど真ん中でいきなり土壌改良なんて全く...
砂を除去していって、下方にある土層もしくは岩盤を露わに...
#BR
「で、これから俺達のやることは、砂の層が比較的薄い部分の...
「へえ、なんて言うか、至ってまともな作戦だ」
#BR
関心しきりといった風で頷く岩元……というか、今までどんな...
#BR
「でも、これって俺達じゃなくても出来る作業ですよね?」
#BR
すでに茨級の攻撃力である。手に持った図面を忌々しそうに...
#BR
「うん、俺もそう思って、普通に作業員の方々でいいって上申...
「「!」」
#BR
グレイの発言に、ぴくりと耳を立てる二人。どうやら身に覚...
#BR
「グレイさん、それどこに上申しました?」
「ああ、かちゅーしゃ前摂政だけど」
「「…………」」
#BR
その名を聞いた二人は、グレイから少し離れたところで円陣...
#BR
「なあ、どう思う? 俺は嫌がらせに300」
「その裏をかいて、一般作業員じゃどうにもならない事が隠さ...
「どうした、二人共。そろそろ始めるぞぅ」
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「Dブロック探査完了。使用可能範囲57%です」
「OK、次に行こうか〜」
「了解ー」
#BR
砂漠に入った辺りをビデオカメラのようなものを片手にほて...
#BR
「うん、この辺りは結構いけるみたいだな。俺達が来る前に下...
#BR
現在の所、使用可能な土地は結構な平米数にのぼる。正直グ...
#BR
「あり得ますよ……ある条件下でしたらね」
「ある条件下?」
「はい」
#BR
沈痛そうな表情を浮かべるシノブである。美形なだけに、そ...
#BR
「今回の仕事が、蓮田屋参謀でなく、国王陛下もしくは前摂政...
「ど、どわあああああああああああああああああああっ」
「どうも、あり得たようですね」
#BR
響いてくる岩元の悲鳴に、自分の主張が正しい事が認められ...
#BR
「僕達をギャグのズンドコに陥れる為なら、あの人達は労力を...
#BR
拳を握って力説……いや、ズンドコって何だよ。
#BR
「いわもとぉぉぉおおお!!」
#BR
そんなシノブを尻目にグレイは岩元の状況を確認する……現在...
その足元を見てみる。
#BR
「「うげ」」
#BR
何故かハモるグレイとシノブ。二人共もの凄く嫌そうな顔で...
#BR
「スーナーミミズか……でかいとは聞いていたけど、こんなにで...
「いや、どう考えてもでかすぎですよ、これ」
「グレイさん! ちょ、これっうわっ高っ! 怖っ!」
#BR
今、そのミミズは鎌首をもたげるように半ば立ち上がってお...
#BR
「くっそ、戦闘服持ってくりゃ良かった!」
「いや、やめて下さい。それだけは」
#BR
シノブが間髪入れずに突っ込みを入れる。確かに彼が戦闘服...
すると、突如巨大ミミズが身じろぎ。その予想不能な動きに...
#BR
「わあああっ!」
#BR
ツルッと。まさにツルッとという擬音がピッタリの滑り方を...
#BR
「「!!!!」」
#BR
どこから取り出したのか、2メートルはあろうかというバー...
岩元の落下を目の当たりにして硬直した。
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「ふわあ〜正直、死ぬかと思った〜」
#BR
未だにふらふらとしている岩元。落下先が幸いにも、地面近...
#BR
「しかし……どうします? グレイさん。これ……」
「うーん、そうだなあ……」
#BR
目の前には、もう大小含めて何十匹という巨大ミミズがダン...
#BR
「あ、そうか。確かスーナーミミズって……」
「何か考え浮かびました?」
「う〜くらくら〜」
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
そして三日後。そこには巨大な食用ミミズプラントが出来、...
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
「さすがにステーキとかはあれだから、タンパク質とかを抽出...
「……ますます携帯食料が嫌いになりましたよ、僕」
「喰う度に目が回りそうだ……うっぷ」
#br
#hr
#BR
終了行:
*食糧生産地 [#se2abb98]
我が国の生命線を支える食糧生産地の一部をご案内致します。
#contents
**『食糧生産地』 [#k5969be6]
#BR
解説
羅幻王国の砂漠地帯に点在する食糧生産施設である。
ネストと呼ばれる中心施設から直径1km程に渡って農地が広が...
#BR
本来農作業に向かぬ砂漠地域で十分な食糧を栽培するため、...
#BR
主な栽培作物は米や小麦といった穀物類である。環境そのも...
#BR
施設の操業は宮廷の認可を受けた事業主が専門的に行ってお...
#BR
この施設によって生産される食糧の欠点としては、味が薄く...
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王室の保有する貯蔵庫には国家備蓄として年間消費量の6割...
#BR
基本的にはなんの変哲もない農地ではあるのだが、砂漠地帯...
なお、時折勝手に品種改良されたらしい変な作物が見つかっ...
……不明だってば。
(記述:四条あや様)
**稲作[#k4a5f5cb]
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http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
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(撮影:茉乃瀬桔梗様)
羅幻王国に稲作ブームが訪れました。
国民の20人に1人は、家の屋上を使って趣味用の水田を開い...
「米作りだにゃー!」
<羅幻王国ニュースヘッドラインより>
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**食糧生産施設 [#a22c5b94]
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
(撮影:寛様)
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**キノコ栽培 [#mccb2fc9]
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http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
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山岳地帯にある、キノコプラントのドーム内では、キノコや薬...
(撮影:上・寛様、下・比月 コウ様 設定:羅幻雅貴)
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**漁業 [#h6a59f4b]
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http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
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海が近いため、漁業が盛んである。
さらに羅幻王国は魚は貴重なタンパク源であり、猫の好物とも...
「大漁ばんざいだにゃー!」
(撮影:寛様、ぱんくす様 解説:羅幻雅貴)
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**水田 [#r2f58cd2]
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http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
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(撮影:絢人様 設定:羅幻雅貴)
緑地化プラントではよく見られる風景の一つ。
ここで取れた米の大半が、羅幻王国の国民の台所に並ぶ事にな...
「稲育つにゃ〜♪がんばって美味しいお米やお餅になるにゃ〜♪」
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**麦畑 [#r2f58cd2]
http://newtralgray.web.infoseek.co.jp/ragen/hp/syokuryou/...
(撮影:寛様 設定:羅幻雅貴)
食糧プラントで見られる風景の一つ。
なお、この風景は麦の収穫である。
ここの麦が様々なモノに加工され、羅幻王国全土へと運ばれて...
「良いのが取れたにゃー!パンにもうどんにもいいにゃー!」
#br
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#BR
**グレイ様作『養鶏場増産!』 [#ic955312]
グレイは今、国立養鶏場に足を踏み入れていた。
その規模的は敷地面積300坪、建物面積200坪に及び、7つの...
#BR
食料増産命令が出た今、主食は勿論のこと、総括的な増産体...
#BR
その職務に真っ先に手を挙げたのが、このグレイである。ま...
#BR
「えーっと、グレイさん、でしたっけ」
#BR
養鶏場の中の様子を伺ったまま、涎を垂らしている馬鹿に声...
#BR
「あ、はいはい。そうですが」
「増産と言ってもですねえ、これ以上となるとやっぱりマンパ...
#BR
その言葉に内部を見渡すグレイ。確かにオートメーション化...
#BR
「いや、まだいけるでしょう。私が見てきた所では、これの二...
「は、はあ。そうなんですか」
「幸い、そこの機械の開発者とツテがあります。直ぐ連絡して…...
#BR
一気にまくし立てるグレイ……ただの鳥好きではなさそうだ。
#BR
「え? でも、肝心の鶏の手配はどうするんですか?」
「いえ。鶏の増加は序々に行きます。購入はせずに、ここで育...
「はあ!?」
「鶏舎を2つ建ててもまだ50坪以上、土地の空きはあります。そ...
#BR
そうこう言ってるうちに、何やら地響きが……それも段々と近...
#BR
「か、監督ー! なんか重機やらダンプやら一杯来てますよー...
「なんですとー!?」
(ニヤリ)
#BR
そう。既に打てる手は打っていたグレイであった。
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
とてかんとてかん。
#BR
早朝から開始された作業であったが、時刻は既にお昼。既に...
#BR
「しかし、なんですね。何でも良くご存じで」
「ほんはほほはいへふひょ」
#BR
そんな作業を見守りながら、花柄の敷物の上でお昼を頬張っ...
その見事な喰いっぷりに、養鶏場監督も流石にが呆れ顔であ...
#BR
「こほん。そんなことないですよ」
#BR
口の中のものを嚥下して、言い直すグレイ。
#BR
「まあ、色々やって来ましたからねえ。今日はとりあえず、生...
「そうですか。じゃあ私はそろそろ作業に戻り……」
#BR
すると、監督の科白を遮るかのように、大きな音が響いてき...
#BR
「今の音は……」
「大変だあぁっー!」
#BR
そして、監督の下に走ってくる男……って。
#BR
「げ」
「うわ」
#BR
その男の後から。
#BR
コケコケコケコケ。
#BR
「さっきの振動で弱くなってた壁が崩れて、鶏が逃げ出しまし...
「「見れば分かる!!」」
#BR
コケコケコケコケ。
#BR
「ぐ、グレイさんどうします!? 尋常な数じゃないですよ!」
「うーん、工事の人間を割く余裕はない……かと言って増員を要...
#BR
ぶつぶつ言っている間に、コケコケ言いながら近づいてくる...
#BR
「しょうがない、私がなんとかします。監督はこれ以上の流出...
「は、はいぃっ!」
#BR
監督は壁が崩れた鶏舎へ。そしてグレイは自身が乗ってきた...
#BR
「くそっ、こんなこともあろうかと、何か持ってくりゃ良かっ...
#BR
ぶつぶつ言いながらグレイはネクタイを外し、上着を脱いで...
#BR
「こうなりゃ、全羽丸焼きにして売っ払っちまうか……いや、売...
#BR
……そこまで好きなのか。
それはともかく、グレイは一応持ってきたサブマシンガンを...
#BR
「これで誘導すればなんとか……」
#BR
タタタタタ、と軽快な音を立てて、集団の先頭のやや先に着...
#BR
「よし、良い感じだ」
「おう、あんちゃん。頑張れよ〜」
「まかいときっ」
#BR
型枠を組み終えて、生コンの到着待ちで一服つけている作業...
#BR
タタタタタ、コケコケコケ。
タタタタタ、コケコケコケ。
#BR
何とか一つの塊には出来たものの、なかなか鶏舎の方へ進ん...
#BR
タタタタタ、コケコケコケ。
タタタタタ、コケコケコケ。
#BR
「く〜〜〜〜〜っ」
#BR
流石のグレイもいらいらし始めたのか、そんな声を漏らす。...
そして。
#BR
タタタタ……カンカンカンカン
#BR
乾いた音が響き渡る。とうとう弾が尽きたようである。
#BR
「…………くっ」
#BR
追い立てられるものが無くなったのを良いことに、雌鶏達は...
#BR
コケコケコケコケ。
コケコケコケコケ。
コケコ…………コケ。
#BR
しかし、グレイまであと1メートルと言った所で、何故か止ま...
#BR
「くっ……くっくっくっくっくっ」
#BR
膝をつき、がっくりと項垂れたグレイの肩が揺れる……もしや...
#BR
#BR
#BR
ああ、もし今が夜ならば。そこにいる全てのものが認識した...
#BR
#BR
……コケ……。
#BR
一歩。また一歩と何故か後退していく雌鶏達。
#BR
「おーまーえーるぁー」
#BR
その見事な巻き舌っぷりよ。そして。
#BR
「さっさと戻らんと、丸呑みしてくれっぞ、ごるぅぅうあああ...
#BR
コケーーーーーーーーッ!!!!
#BR
怒号一閃。完全に別の意味で飲み込まれた雌鶏達は全速力で...
#BR
って、あれ? そのまま追いかけていって……雌鶏達が入りきっ...
#BR
「ちょ、あんちゃん! 何しよんねん!」
「ぐ、グレイさん、落ち着いて!」
「ぎしゃああああああああああああああああああああああああ...
コケコケコケコケーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
斯くして崩壊箇所の修理と脱走鶏の回収は何とか無事に済ん...
#BR
#BR
#BR
#BR
#BR
「いや、あの日から一部の雌鶏達がよ、我先にと卵をすんごい...
(某作業員・談)
#br
#hr
#BR
**岩元 宗様作『漢であるっ!』 [#o0b4f770]
宇宙=ネットと言う現代。
にゃんにゃん共和国の西に羅幻王国という藩国がある。
#BR
今日も今日とて羅幻宮殿。
平和である。青い空には雲なんて飛んでいる。
ごく当たり前だが。
#BR
「これ、どういうことかしら?」
#BR
蓮田屋藤乃は報告書を一瞥して言った。
この国最強の彼女は一度見た書類内容は忘れない。
ちなみに今日はスーツ姿であり、ナイスなキャリアウーマン...
#BR
「これは、その例の増産計画の」
「それは知っているわ。私が立案したプロジェクトですもの」
「はい。完璧な計画です」
#BR
ルクスは微笑んだ。
蓮田も微笑み、そして書類のある一点を指差した。
#BR
「? 廃棄穀物プラントの……またですか」
「そうらしいわ。これで五回目。機材も何もかもが破壊された...
「なんなんでしょうか。まさか根源」
「ストップ」
#BR
と、ルクスの言葉をとつぜん蓮田は止めた。
#BR
「な、なんですか?」
「いや、なにかシリアスっぽいので、違和感があったのよ」
「……確かに最近、ギャグばかりでしたね。疲れて被害甚大の」
「ええ、ギャグばかりで被害が多い」
「…………」
「…………」
#BR
二人は管理職にだけわかる微苦笑を浮かべた。
#BR
「まあ、いいわ。それで原因は分かっているの?」
「それが皆目検討も」
「うーん……それで五回も失敗は痛いわね。よし」
#BR
蓮田屋藤乃は報告書に手を置いた。
#BR
「暇人を集めましょう。いま暇すぎてどうしようもないという...
「えっまた暇人ですか?」
#BR
ルクスは一瞬だけ嫌な顔をした。
これまで暇人を集めて良いことなんてひとつもなかった。
どれもこれも酷い目にあってきた。
だが変である。蓮田屋藤乃がこれに気付かないはずはない。
しかも国庫予算が掛かっている。それで気付かないのは有り...
#BR
「何を心配しているの? ああ、そうか。大丈夫よ。今までは...
でも今度は廃棄穀物プラント。それに万が一何かぶっ壊した...
「なるほど」
「それに暇人使うだけだから人件費も費用もゼロ。そうゼロよ」
「おお、無駄がない。合理的で経済的。さすがです。ではさっ...
暇で暇でしょうがないほどの暇人たちを」
#BR
ルクスは蓮田屋藤乃の優秀さを再確認した。
彼女が居れば羅幻藩国は安泰だろう。
#BR
#BR
「貴方たちは国が誇る優秀なエージェントです。」
#BR
ルクスはそうキッパリと言った。
#BR
「その通りだ。だが少し違う。私は天才のエージェントだ」
#BR
白衣を鮮やかに優雅に翻すのはドクター無畏。
#BR
そして、またかよ。またこのメンバーかよ。と、長髪ヒゲ長...
#BR
「はうぁー眼鏡が砂で」
#BR
茉乃瀬桔梗が眼鏡を拭いている。軍服で、腰に下がっている...
そしてシノブの姿があった。理知的な猫耳の美少年である。
#BR
「なんで僕が選ばれたんだろう……」
#BR
そうぼやいている。
#BR
「砂漠の漢っ!。天上天下にその名を轟かす。これぞ漢道なり...
#BR
そう気合入った声で言ったのはグレイ番長だった。
サングラスに気合いの入ったガクラン。ベルトではなく荒縄...
靴墨で学帽を塗り、鎖を通している。
#BR
「漢なら万里の敵を打ち砕け。魂ある限りっ!」
#BR
#BR
以上、四名が選ばれた暇人……もといエージェントである。
#BR
#BR
廃棄穀物プラントは王宮からそう遠くない場所にあった。
砂漠の中に黒いボロボロのドームがある。
#BR
「ここか」
「うむ。そのようだな。天才レーダーも反応している」
#BR
ドクター無畏は天才と描かれた黒い奇妙な箱を持っていた。
なんかピコンピコンとアンテナ部分が反応している。
#BR
「聞きたくないが、そのレーダーなんだ?」
#BR
羅須侘はため息混じりに聞いた。
#BR
「天才レーダーだ」
「だから、そのレーダーはなんだ?」
「天才レーダーだ」
#BR
羅須侘はベレッタと取り出した。
ドクター無畏はコホンっと息をつく。
#BR
「天才に反応するレーダーだ」
「初めからそう言えばいいだろう」
「そう言ったはずだが?」
「漢は一言でいい。だが無言で生きる。それが漢よ!」
「あ、ああ、眼鏡がぁー ううー」
「はぁーなんでボクはこんなところまで来てしまったのだろう」
#BR
大丈夫か。この四人。
#BR
とにかく四人はプラントの中に入った。
#BR
プラントは暗かった。
もう使われなくなって何十年経過したのか。
#BR
「うーなんか怖いです」
#BR
MP5を構えて茉乃瀬は言った。
#BR
「こっちだ。」
#BR
天才レーダーの反応する方へドクター無畏は指し示した。
#BR
「おい、大丈夫なのか?」
「うむ。神は信じなくていい。天才を信じろ」
「信じられないんだが」
#BR
キッパリと羅須侘は言うと、ドクター無畏は高笑いをした。
#BR
「いや天才だし」
「でも、あの、天才に反応するということは……この先に天才が...
「む! なにかおるぞっ!」
#BR
グレイ番長が真っ先に反応、すると四人の目の前に巨大な巨...
まるで巨木であり、どっしりとプラント中央部に居座ってい...
天才レーダーが反応しまくり。ピコンピコンピコンと凄い反...
#BR
「うるさい」
「あっ」
#BR
ドクター無畏は天才レーダーを破棄した。
#BR
「こ、これは……これはってえ!?」
#BR
羅須侘がトウモロコシを見上げると、ハッピートリガーは既...
さすがである。盛大にMP5がプラントに火を噴く。
あっという間に銃声が轟いて硝煙が渦巻く。
#BR
「ぬうっ、先手必勝か。見事なりぃ!」
#BR
グレイ番長。あっぱれと言う。
二人は逃げたが、腕を組んでその場から動かない。
凄い。凄すぎるぜグレイ番長。
#BR
だが、おや何か様子が変だ。
あれだけ撃ったのに、硝煙が晴れると、トウモロコシはびく...
傷ひとつない。無傷でドッシリとしている。
#BR
「は、あれ?」
「この化け物めっ!」
#BR
羅須侘がカッコよくベレッタを撃つ。
しかし巨大なトウモロコシに全て弾かれた。
#BR
「な、なんてヤツだ。」
「これが原因だったのか。これでは確かに歯が立たない」
「うむ。まさかこれは伝説のモロコシ帝王! その名も【成功...
「ちょっと待って。なんだそれ!? Aマホじゃねえんだぞっ...
「いやー天才に聞かれても」
#BR
ドクター無畏は爽やかに微笑んだ。
#BR
「気に入ったっ! それでこそ漢の中の漢の名よ! 剛力っ!」
#BR
いきなりグレイ番長絶賛。
しかも名前ひとつもあっていない。
そして、その割れた帽子の縁のサングラス奥にある瞳が輝い...
#BR
「だが、漢として、貴様を倒さなければならないっ! それが...
#BR
と力強く言って、グレイ番長構えた。
拳に魂と根性と力を込めて、数歩で近づき振り下ろす。
#BR
「魂漢の拳っっ!」
#BR
その瞬間、凄まじい音がした。金属を叩いたような音だ。
そしてなんと【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が揺れた。
#BR
「きゃあっ!」
「うわぁ!」
「な、なんだ」
「魂の叫びは漢の叫びっ! 三千世界の果てへと飛ぶ拳よっっ...
「グレイ番長っ!?」
#BR
みんな驚く。
ここにグレイ番長VS【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】が...
#BR
「さすがは漢。それでこそ漢よっ! ならば」
#BR
グレイ番長。笑って、構えた。腰を落として右拳を突き上げ...
#BR
「漢の中の漢としてっ! せいっ! 魂揺るがす熱血心っ! ...
番長永遠に不滅ですっ! この拳が、この魂が、その全てが...
#BR
右拳に信じられない力が集まり始まる。
#BR
「漢っ!! だっしゃああああああああああああぁぁぁっっっ...
#BR
グレイ番長の【ただひとつの漢としてのけじめというか、ロ...
それは【成功要素・メッチャ頑丈(笑)】を貫く。
その結果、この廃棄プラントを支えがなくなり…………崩れてき...
#BR
「うわあぁっ!」
「く、崩れる。逃げるぞっ!」
「はにゃー眼鏡がぁっ!」
「天才ダッシュっ!」
#BR
一目散に撤収する三人。
そして地響きと瓦礫の中で腕を組み、グレイ番長は吠えた。
#BR
「これぞっ! これぞぉっ! 漢であるっっ!」
#BR
数分で廃棄穀物プラントは崩壊した。
#BR
#BR
後日。
羅幻宮殿。
#BR
「なるほど。そんな穀物が」
#BR
蓮田屋藤乃は微笑んだ。報告書を読み終わり、コーヒーを口...
#BR
「はい。その伝説穀物が全ての元凶でした。」
「硬度はメタルリーフの数百倍…………で、それを素手で?」
「はい。グレイ番長ひとりの拳で」
「……まあ、いいわ。とにかく予算ゼロで終わったから」
#BR
蓮田屋藤乃は優秀だった。ものすごく引っ掛かるが、それを...
#BR
「これで増産計画が進めるわね。」
「はい」
#BR
#BR
「これにてぇっ! 一件落着であるっっ!」
#BR
グレイ番長は夕陽の砂漠で腕を組み、そう叫んだ。
#BR
#BR
『劇幕!』
#br
#hr
#BR
**グレイ様作『スーナーミミズ!』 [#lbd9674e]
砂漠。
#BR
砂漠地帯の国なのだから、当然砂漠はある。
食料増産の命を受け、今現在の体勢の見直しは勿論のこと、...
そこで立ち上がった……というか、無理矢理その難関に放り込...
#BR
「……まあ、やれと言われれば努力はしますけど」
#BR
暑い日差しの下、何故か黒のスーツ姿の男がフライドチキン...
#BR
「いや、グレイさん。なんで俺なんすか」
#BR
その横でやる気のなさそうにへちゃっと座り込んでいるのは...
#BR
「え? いや、俺が選んだんじゃないぞ。国王陛下の推薦状が...
「……ちょっと見せて貰えます?」
「宗君より、僕を選んだ理由が分かりませんよ」
#BR
そう言って岩元と同じくあぐらをかいて不満そうに呟いてい...
#BR
「大体、グレイさんと僕達って、今回が初仕事ですよね? な...
「いや、シノブ君もこれ見たら分かると思うんだけど」
「ぐあっ」
#BR
頭を抱えてシノブに推薦状とやらを渡す岩元。見たくもなか...
#BR
#BR
#BR
『すいせんじょー♪
#BR
グレイさん、今回の砂漠地帯土壌改良調査には、下記の二名...
#BR
岩元 宗:前回の冒険が物足りなかった様子。がっつり満足...
#BR
シノブ:うっかりさんだけど、頑丈な人なんだ。グレイさん...
#BR
#BR
頑張ってね〜、朗報を期待して待ってるにゃん☆ 』
#BR
#BR
#BR
「ぐあっ」
「……いや、これがちゃんとした推薦理由かと、俺も頭をひねっ...
「もうひとひねりしようよ! グレイさん!!」
「ああ、元からない体力がもう根こそぎ奪われた気がする……」
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ぽかんとするグレイを尻目に、頭を抱える二人であった。
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「で、どうやるのか、アテはあるんですか?」
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ぶうたれ口調の岩元。さっきからずっとこの調子である。
#BR
「そうですね、大抜擢された人の展望をお伺いしたいですね」
#BR
一方どうにも言葉に刺のあるシノブ。既にグレイは「嫌いな...
#BR
「いや、まあ。こういうのはパターンがあるんだけどね」
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そう言いながらグレイが説明した作戦はこうである。
砂漠、と言ってそのど真ん中でいきなり土壌改良なんて全く...
砂を除去していって、下方にある土層もしくは岩盤を露わに...
#BR
「で、これから俺達のやることは、砂の層が比較的薄い部分の...
「へえ、なんて言うか、至ってまともな作戦だ」
#BR
関心しきりといった風で頷く岩元……というか、今までどんな...
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「でも、これって俺達じゃなくても出来る作業ですよね?」
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すでに茨級の攻撃力である。手に持った図面を忌々しそうに...
#BR
「うん、俺もそう思って、普通に作業員の方々でいいって上申...
「「!」」
#BR
グレイの発言に、ぴくりと耳を立てる二人。どうやら身に覚...
#BR
「グレイさん、それどこに上申しました?」
「ああ、かちゅーしゃ前摂政だけど」
「「…………」」
#BR
その名を聞いた二人は、グレイから少し離れたところで円陣...
#BR
「なあ、どう思う? 俺は嫌がらせに300」
「その裏をかいて、一般作業員じゃどうにもならない事が隠さ...
「どうした、二人共。そろそろ始めるぞぅ」
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「Dブロック探査完了。使用可能範囲57%です」
「OK、次に行こうか〜」
「了解ー」
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砂漠に入った辺りをビデオカメラのようなものを片手にほて...
#BR
「うん、この辺りは結構いけるみたいだな。俺達が来る前に下...
#BR
現在の所、使用可能な土地は結構な平米数にのぼる。正直グ...
#BR
「あり得ますよ……ある条件下でしたらね」
「ある条件下?」
「はい」
#BR
沈痛そうな表情を浮かべるシノブである。美形なだけに、そ...
#BR
「今回の仕事が、蓮田屋参謀でなく、国王陛下もしくは前摂政...
「ど、どわあああああああああああああああああああっ」
「どうも、あり得たようですね」
#BR
響いてくる岩元の悲鳴に、自分の主張が正しい事が認められ...
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「僕達をギャグのズンドコに陥れる為なら、あの人達は労力を...
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拳を握って力説……いや、ズンドコって何だよ。
#BR
「いわもとぉぉぉおおお!!」
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そんなシノブを尻目にグレイは岩元の状況を確認する……現在...
その足元を見てみる。
#BR
「「うげ」」
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何故かハモるグレイとシノブ。二人共もの凄く嫌そうな顔で...
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「スーナーミミズか……でかいとは聞いていたけど、こんなにで...
「いや、どう考えてもでかすぎですよ、これ」
「グレイさん! ちょ、これっうわっ高っ! 怖っ!」
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今、そのミミズは鎌首をもたげるように半ば立ち上がってお...
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「くっそ、戦闘服持ってくりゃ良かった!」
「いや、やめて下さい。それだけは」
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シノブが間髪入れずに突っ込みを入れる。確かに彼が戦闘服...
すると、突如巨大ミミズが身じろぎ。その予想不能な動きに...
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「わあああっ!」
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ツルッと。まさにツルッとという擬音がピッタリの滑り方を...
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「「!!!!」」
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どこから取り出したのか、2メートルはあろうかというバー...
岩元の落下を目の当たりにして硬直した。
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§ § ...
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「ふわあ〜正直、死ぬかと思った〜」
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未だにふらふらとしている岩元。落下先が幸いにも、地面近...
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「しかし……どうします? グレイさん。これ……」
「うーん、そうだなあ……」
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目の前には、もう大小含めて何十匹という巨大ミミズがダン...
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「あ、そうか。確かスーナーミミズって……」
「何か考え浮かびました?」
「う〜くらくら〜」
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そして三日後。そこには巨大な食用ミミズプラントが出来、...
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「さすがにステーキとかはあれだから、タンパク質とかを抽出...
「……ますます携帯食料が嫌いになりましたよ、僕」
「喰う度に目が回りそうだ……うっぷ」
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