王立図書館5F
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*王立図書館5F [#na8f83e4]
イベントなどで提出するSS等の文章類を掲示しております。
#contents
**源様作『羅幻王国のとある国民の休日』 [#zef202b0]
近頃、戦続きで若干慌しくある羅幻王国内。慌しいながらも...
#BR
「……出汁がちょっと薄いかなぁ。でも、このお揚げはグーだね...
#BR
昼時、賑わううどん屋のカウンターで、彼女は一人ちゅるち...
#BR
「あー、せっかくなんだし、ヴィスちゃんでも誘えば良かった...
#BR
どんぶりの中身を半分程残しつつ、一旦箸を置いた彼女は、...
出会いについては割愛しておく。述べるまでもない内容であ...
#BR
「へい、らっしゃい!」
#BR
がらがらっと小気味のいい音を立てて店の扉が開かれた。カ...
#BR
「いや、いいって、ボクお腹空いてないからさぁ」
「ダメです。そんな事言って貴女この二日何も食べてないでし...
「ほんと減ってないんだってばー」
#BR
やいのやいの言いながら来店してきた二人、酔いどれパイロ...
カウンターから振り返ったごまるは、その二人を見るやいな...
#BR
「おーい、こっち空いてるよー」
「あ、ごまるちゃんじゃん」
「あら、いらしてたんですね、彼女」
#BR
声をかけられた二人は、一時口論を止め、大人しくごまるの...
#BR
「ゆっきーはともかく、みなもっちゃんをこんな所で見るのっ...
#BR
残ったうどんをやっつけながら、ごまるは座った二人の顔を...
#BR
「源さんったら、放って置いたら何日でもお酒と煙草だけで過...
「はっはっは。ゆっきーはエライなぁ」
「死なない程度には食べてるんだけどねぇ」
「死なない程度って何ですか! 健康的に毎日三食食べましょ...
「えー」
「ゆっきー……あれはちょっと無理だと思うよ? 普通の女の子...
「あ……」
#BR
ヴィスの食の鉄人ぶりは、羅幻王国では割と有名になりつつ...
『喰い改めよ』
ある種の威厳すら感じられる一言であった。ちなみにこれは...
#BR
「と、とにかく。おじさん、私はざるうどんをお願いします」
#BR
こほんと一つ咳払いをした倖は、気を取り直すようにして店...
#BR
「んー、じゃぁ、おっちゃん。ボクはビールとかけうどん」
「って、源さんっ! 何昼間から頼んでるんですか!」
「ビールなんてアルコールの内入らないから大丈夫だって」
「もう〜!」
「あっはっは」
#BR
源と倖のやり取りに笑いをこぼすごまる。気づけば既にどん...
さてどうした物かと思案している間に、横の二人の目の前に...
#BR
「ごまるちゃんもう食べ終わってんだ」
「二人が来る前にはもう半分以上食べてたしー。っと、これか...
#BR
早速ビールの栓を抜いてグラスに注ぎつつ言う源に対し、ご...
#BR
「これからの予定は決めてないんですか?」
「何かあった気がするんだけど……」
#BR
何も考えずにぽややんと気が向くまま、このうどん屋を訪れ...
#BR
「はて?」
#BR
首を傾げて見たものの、ぼんやりとしたイメージしか浮かん...
#BR
「い、いたっ!」
「「?」」
#BR
凄まじい音を立てて開かれた入り口の扉。そしてそこに現れ...
#BR
「あれ? 兄者どしたのかな?」
「どうしたもこうしたもありませんよ!」
#BR
ごまるの言う兄者―-羅幻王国宰相ルクスは、肩で息をしなが...
何とも驚きな事実なのだが、ごまるはルクスの妹という事ら...
#BR
「貴女今日が何の日か忘れてませんか!? 妹者!」
「ほえ?」
「「…………」」
#BR
珍しく声を荒げるルクスに、ごまるは素っ頓狂な声を上げ、...
#BR
「……今日のルクスさん凄いね、何か」
「……いつもは物腰柔らかいですもんねぇ、あの人」
#BR
ぼそぼそと脇でやり取りする二人の声に、ルクスは気づかな...
#BR
「今日は国民の休日ですよねぇ?」
「うん」
「イベントがありましたよねぇ?」
「え、何それ? 兄者」
#BR
さり気なく源からビールを注いでもらいつつ、ごまるは聞き...
#BR
「何飲もうとしてんですかッ! そんな事してる場合じゃない...
#BR
身内ならではの遠慮の無さだろうか? 普段のルクスならま...
#BR
「あ痛! 痛いってば兄者! 取れるっ! 耳取れるって!」
「いいから来なさい! ほら駆け足! あ、店主。そこの二人...
「ありがとうございましたー」
「「…………」」
#BR
まるで台風一過とでも言うべきか。全員分の勘定を置いてか...
#BR
「何だったんだろね、ありゃ」
「わ、私に聞かれても……」
#BR
※
#BR
今日も今日とて、国民の休日とはいえ忙しない動きを見せて...
#BR
「最近は仕事が多くて、まともな休日が取れなくて困るよ」
「いつもながら大変そうですねぇ……あ、お代わりはたくさんあ...
「了解した。私に任せてくれ」
「……って、おい。何でお前もいるんだ」
「?」
#BR
視察がてらに訪れた養鶏所の事務所にて、ささみから昼食の...
#BR
「……ささみさん、もうちょっと濃い味付けでも良いかも知れな...
「俺の突っ込みは無視か、ヴィスよ。ちなみにこれ以上濃くし...
「ふむ、そういう物ですか」
「あっ、てめっ、俺の照り焼き返せ!」
「食卓は戦場故、油断される貴方が悪い」
「何を言うかこのっ」
「…………」
#BR
ささみ自身、いつの間にやら現れたヴィスの存在に対し、思...
ぶっちゃけ、思考回路の段階がずれているだけなのだが。
#BR
「……って、何だろ、この状況」
「命短し恋せよ乙女、ってか」
#BR
気配を殺してささみの背後に近寄っていた人物、蒼凪羅須侘...
#BR
「…………」
「どうしたい、ささみちゃんよう。何か言いたそうだが?」
「いえ、もう何があっても驚きませんけど、一体いつの間に?」
「野暮ったい事言うなよ。俺も御相伴に預からせてもらいたく...
「……はぁ。追加分の料理を作ってきますね、私」
「ありがてぇっ。ほらほらー、グレイ殿にヴィス殿やーい、ち...
「む……新たな敵」
「旦那まで……うかうかしてられないな」
「…………」
#BR
大して疲れてもいないのに、疲労感ばっちりの溜息を吐くさ...
ぶぅんと鈍い音を立ててテレビに光が点る。それと同時に、...
#BR
「「?」」
#BR
食堂にいた全員が、テレビの方へと向き直る。
#BR
「そう言えば……」
#BR
箸で唐揚げをつまみながら、ぼそりと呟くヴィス。
#BR
「今日は国営放送で特別番組が、あったか」
「あー、そういやそうだったっけな」
#BR
追従するように、羅須侘とグレイが空中で料理の取り合いを...
#BR
『M*1開催でーーす』
#BR
ブラウン管の中では、特注のにゃうんどがーるの衣装に身を...
#BR
※
#BR
「「ぶーっ」」
#BR
倖と源は、うどん屋のカウンターで二人同時にうどんを吹き...
原因はカウンター脇のテレビから流れてくる映像である。
#BR
「宰相が言ってたのって……」
「あのにゃうんどがーるの事だったんですねぇ……」
#BR
汚れた口元を拭う事もせず、ぽかんとテレビを眺める二人。...
#BR
「あの子、何かスケール大きいね。倖ちゃん」
「私もそう思います。源さん」
#BR
※
#BR
「でさぁ、兄者。何で私こんな事してんだろ?」
「本番中に何を言ってるんですか妹者!」
「宰相AD! 声入ってる!」
「あっ! すいませんっ!」
「……何でなんだろ。まぁ、いいけどぅ」
**グレイ様作『羅幻コーチン誕生秘話〜スーナーニワトリ捕獲...
羅幻王国の朝は早い。
技術大国とはいえ、それを支えるのはやはり一次産業就労者...
その中でも、一鳴きどころか百鳴きも千鳴きも響き渡る場所...
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「おお、グレイさん。おはようございます」
「おはようございます、監督。今日もいい天気ですねぇ」
「グレイさん! 昨夜3匹が羽化しましたよ!」
「おっ、いい感じじゃないですか」
#BR
貢献率上昇の立役者、グレイ。この男、宮殿出仕者のくせに...
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「グレイさん、はい、お弁当です」
「お、ささみちゃん、いつも済まないな」
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事務仕事をしているここの監督の娘、ささみが現れてグレイ...
#BR
「今日はゆっくりしていかれるんですか?」
#BR
何やらはにかみながらグレイを見上げるささみ。二人の身長...
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「うん、急ぎの案件はないし、少しだけお邪魔させてもらうよ」
「ほ、ほんとですかっ、じゃ、じゃあ宜しければこちらでお茶...
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ぱあっと表情が輝き、グレイにそんな事を提案しようとする...
#BR
「自家生産の方の目処がまだ立ってないから、色々と対策を練...
「あ……」
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一気にがっくりと項垂れるささみ嬢。耳と尻尾もへにゃっと...
#BR
「ささみ、ひょっとして……」
「お父さんはうるさい」
「まあ、あの御仁、そういうのには鈍そうだからな。もっと積...
「だからうるさい」
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花より団子とは、正にこのことである。
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『羅幻コーチン誕生秘話〜スーナーニワトリ捕獲すちゃらか大...
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「警戒情報ラインに侵入形跡?」
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ところ変わってここは羅幻王国宮殿内にある国王執務室。そ...
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「あらん、穏やかじゃないわねえ」
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蓮田屋からの報告を受けて、羅幻とかちゅーしゃが目を丸く...
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「先に私の見解を申し上げると、外敵のものではないとは思う...
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眼鏡の位置を直しながらそう告げる蓮田屋。その表情は困惑...
#BR
「国境防衛隊からの報告書を見ると、砂漠……北側に限られてい...
「ええ、それもこのところ頻繁に。報告が来ていますけど……妙...
「妙……と言うと?」
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報告書の内容を一通り目を通したルクスが気づいた点を上げ...
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「サーモレーダーにしか反応がないんですよ……しかも地下だけ...
「「「地下!?」」」
#BR
軍師の言葉に残りの三人が声を合わせる。軍師の言葉通りな...
#BR
「……妙でしょう? 潜水艦ならぬ潜砂艦なんて聞いたことあり...
「じゃ、新手の根源種族とかかしらん?」
「そ、それって大問題じゃないですかっ!」
#BR
口調は変わらないが、かちゅーしゃの表情が真面目のものに...
#BR
「ああ、御免なさい。最初に言っておいたんですが、言葉足ら...
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そう言うと蓮田屋は手元のリモコンを操作して、壁に埋め込...
#BR
「……何も映ってないわよん?」
#BR
モニターの映像は、地平線まで続く砂漠の丘陵のものであっ...
#BR
「ここの所を良く見て下さいな」
#BR
蓮田屋が胸元に差してあったペンを伸ばして、映像の一点に...
#BR
「「何ですか、こりゃ?」」
「……ええ、そう仰ると思ってました。これはおそらく」
#BR
そこには……何やら茶色っぽい……例えて言うと、鮫の鰭のよう...
#BR
「あ〜! 思い出した!!」
「「「陛下?」」」
#BR
そこで、それまでずっと黙っていた羅幻がいきなり叫んだ。...
#BR
「それは……」
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#BR
§ § ...
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#BR
「問題は夏ですか……」
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戻ってこちら養鶏場。新規に作られた飼育場で、担当のネッ...
#BR
「はい。ご存じかとは思いますが、元々ここらの地鶏……羅幻鶏...
「ええ」
「その間、うちは開店休業ですみたいなもんです。雌鶏は卵を...
「そうだね……このままだと、安定供給にはほど遠いな」
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勿論、ここの養鶏場も空調を完備しているものの、羅幻鶏が...
#BR
「今までに何度も改良案は出てるんですがね……大体、暑さに強...
#BR
そしてネック氏は養育カプセルの中にいる、昨夜生まれたば...
#BR
「第一に、出生率の低さ。そして、肉質の低下。どうしても身...
「うーん」
#BR
グレイが手を出すと、無邪気にぴよぴよぴよと寄ってくるひ...
#BR
「せめて、あの鶏が発見されれば……」
「……あの鶏?」
#BR
ネック氏の呟きに訝しげな表情を見せるグレイ。彼の記憶野...
#BR
「ええ、絶滅したと言われていますが、僕はそう思いません」
「またどうして?」
「奴らほど過酷な環境に耐えうる鶏はいませんから。恐らくは…...
「恐らくは?」
「縄張りを移動させただけだと思うんです。ひょっとしたら渡...
#BR
力説するネック氏。流石のグレイもここは聞き手に回るより...
#BR
「そうか……ならまだ生きてる可能性はあるのかな」
「そうですね。昔っから獰猛な奴らだそうで……僕の曾爺さんが...
「ふむ」
#BR
顎に指を添えて考え込むグレイ……鶏以外の事にもこれくらい...
#BR
「じゃあ、探せばそいつらは必ずみつかる、と?」
「……断言はできませんが、恐らくは」
#BR
台詞自体に説得力はないものの、ネック氏の瞳は力強い輝き...
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「分かりました。全力で探してみましょう……で、その鶏の名前...
「はい、その名は……」
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#BR
§ § ...
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#BR
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「「「スーナーニワトリ?」」」
「そう」
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羅幻の言葉に目を丸くする三人である。
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「曾お爺様の代くらいに絶滅したって聞いたけど。私も小さい...
「それが、これですか?」
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ルクスが先程の画面を見詰める。そのフカヒレと鶏がどうに...
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「背中に鰭でもあるんですか?」
「ううん。それ、鶏冠よ」
「とっ、鶏冠って……じゃあ、本体は砂の中ってことなのん?」
「ネズミにミミズに今度はニワトリ……まだまだ勉強が足りない...
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一気にリアルからお笑いの世界に叩き落ちてしまい、会議の...
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「では、どうしましょう。調査隊を出しますか?」
「……そうですね、ちゃんと調べないと気持ち悪いですし」
「そうねん、ここは、やっぱり」
「そうね」
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四人の思いは既に一つのようである。
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「グレイさんにお願いしましょう」
「グレイさんしかいないわん」
「グレイさんが適任ですね」
「グレイさんに任せるにゃ」
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「ぶえっくしょい!」
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ぴ〜
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「わっ! ひよこ達が〜!!」
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そして、その二時間後。
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「え!? マジですか!!」
「ちょ、落ち着いて下さい、グレイさん」
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宮殿に出仕して直ぐに国王執務室に呼び出されたグレイに、...
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「まだ推測の域は出ませんが……で、全員一致であなたにお願い...
「お任せ下さい」
「いや、まあ、予想通りなんだけどグレイさん。せめてもう少...
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その即答っぷりに困惑しながらも、続けようとするルクスで...
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「あ、グレイさん。パレードの時は有り難うござ……」
「お、コウちゃん、いいところに! 一緒に来て!」
「いましたってきゃ〜!」
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そんな声が執務室の外から聞こえてきた。
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「早いにも程がありますよ……」
「大丈夫じゃない? 一応最初に渡した書類に大体の事は書い...
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性格からか、ひたすら心配性のルクスに対して、ひたすら楽...
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「ま、イングリッドとシェンマをつけたからね。あの子達は優...
「……運用する側に問題があるような気がしますけどね」
「うふふ、面白そうねん。私も行こうかしら?」
「駄目ですよ。かちゅーしゃさんは他に仕事があるんですから」
「きゃー、軍師殿、離して〜」
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そして既にグレイに対して信頼を寄せている蓮田屋は、今回...
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「……ホントに大丈夫かなぁ」
「じゃ、ルクスさん。あなたも行って来る?」
「へ?」
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§ § ...
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『で、なんでボクが連れてこられてるんですかね?』
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がひょん、がひょんと歩くI=Dから通信が入る。それは、この...
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「ここらで名を売っておいた方がいいだろうが?」
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その傍らを走る大型クロウラーの助手席から、グレイはマイ...
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『とか何とか言いながら、なんか企ててるでしょう?』
「そんなはずないだろ? コウちゃんを前線に出したくないだ...
『ちょっ、ボクも女だって!』
『にゃ』
『にゃ』
『ちょっ、猫に肩叩かれたよ、ボク! しかも二匹に左右から...
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どーっと両目から涙を流す源である。
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「……一応冗談だったんだが、流石は陛下直属の猫士だな。空気...
「でも、グレイさん。私がI=D操縦しても良かったんですよ?」
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ステアリングを握りながらコウは、グレイを横目で見ながら...
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「ああ、一応あいつを連れてきたのは理由があるんだ。さっき...
「いえいえそんな。グレイさんにはお世話になってますし、お...
「あはは、それこそ気にする必要ないよ。実は以前、無畏卿に...
「え!?」
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元々大きな目を一杯に見開いてグレイを見るコウ。その表情...
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「ちょっ、コウちゃん危ない!」
「あ、ごめんなさい!」
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危うく横の丘陵に突っ込むところを、慌てて体勢を立て直す…...
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「その、ドクター無畏に作ってもらったって……」
「なるほど、キーワードはそれか」
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羅幻王国民なら当然の反応であった。しかし、彼の名誉の為...
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「いや、単純な格闘用兵器だから爆発とかはしないよ……って言...
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転げ落ちた席に座り直しながら、グレイは続ける。
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「あいつらは表皮が異様に硬いらしいんだ。下手に銃やミサイ...
「なるほど……って必殺!? 殺しちゃうんですか!?」
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必殺、と言う言葉に反応して、コウがうるうるした瞳でグレ...
#BR
「あ、いや。言葉の綾だよ……悪かったから、前見て運転してね」
『つまり、グレイさんの得意な『撲殺』で行くわけですね』
「だから、殺さないって」
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そこに割って入った源に苦笑混じりで返すグレイ。なんと物...
#BR
「で、まあ、そういうものの扱いにかけては源はピカイチなん...
『そんな言葉には騙されませんよ? つまりは厄介事を押しつ...
「だから大丈夫だって」
『……まあ、いいでしょう。で、その格闘用兵器って一体なんな...
「それはな……」
#BR
その時、クロウラーに積まれたサーモレーダーに何かが反応...
#BR
「グレイさん! レーダーに反応がっ!」
「おいでなすったか……源、頼むぞっ」
「りょーかーいー」
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気合いの入ったグレイの声とは正反対に間延びして緊張感ま...
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「0時の方向……何かいます!」
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§ § ...
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「普段は砂漠の砂地が柔らかい所に潜ってるんです」
「……もぐらみたいだな」
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少し時間は遡って、再び養鶏場にある飼育場。飛んでいった...
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「ええ、ですが、鶏冠は外に出しっぱなしなんですよ」
「……そこは鮫みたいだな。面白い生態してるなあ」
「ええ、まるで双方のいいところを勉強したみたいですよね」
「ふむ」
「で、狩りの時には群れのリーダーが率いるグループ単位で動...
#BR
ネックはその流れをホワイトボードに書きながら説明する。...
#BR
「なるほど……出来ればそのリーダーを捕らえたいな」
「そうですね。種付け鶏にするなら、やはりリーダーでしょう...
「じゃ、そのグループをどうにかしないといけない訳か……リー...
「いや、どうでしょう。群れで一番強い雄鶏らしいですけど、...
「あー、なんか別の動物の捕獲っぽくなってきたなあ……」
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グレイはにわかに戸惑っていた……今までの知識とかけ離れた...
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「それはそうと……美味いのかなぁ」
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……戸惑っていた。
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「あ、喰えたもんじゃないですよ?」
「ええ!?」
「ただ、他の鶏と掛け合わせれば、素晴らしい鶏が生まれると...
「……思います?」
「……思います」
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……二人の間に一種異様な空気が流れていた。
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「お、と。そろそろ行かないとやばいな……じゃ、ネックさん。...
「あ、はい。それにかかってると言っても過言ではないので、...
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そしてグレイがその場を去ろうとした時、飼育場の扉が開い...
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「失礼しまーす、お茶お持ちしましたー」
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現れたのはささみ嬢。両手に持ったトレイには、グラスにつ...
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「あ、ささみちゃん、ゴメン。もう行かなきゃ」
「え? そ、そうなんですか?」
「うん。折角だからこのお茶はさっさと頂いていこうかな」
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トレイの麦茶の一つを取って一気のみするグレイ。ささみは...
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「ふう、ご馳走様。良く冷えてて美味かったよ」
「あ、いえいえー」
「慌ただしくてゴメンな? お弁当も、一つ一つ噛み締めて頂...
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そして、すれ違いにグレイは飼育場を出て行った。
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「……ささみちゃん」
「……言わないで、ネックさん」
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§ § ...
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グレイ達の所から100メートル程前方……そこには、一匹のスー...
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「グレイさんっ! ミミズの周りを何かが!」
「ああ、奴らの鶏冠さ。あれは一種の感覚器官でね、ああやっ...
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それはあたかも鮫の鰭のように、スーナーミミズの周りをぐ...
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「よし、みんな、ヘッドフォンをつけて! みなもと、奴らを...
『ほいきた』
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グレイがレバーを引くと、クロウラーの後部ハッチが開き、...
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『イングリッド、ウェイトバランスの調整を。シェンマは着弾...
『『うにゃ』』
『さて、盛り上がって参りましたっと』
#BR
そう言いながら源は手元に置いてあったポケットウイスキー...
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『く〜っ、よし、気合い入ってきたっ』
「……グレイさん、大丈夫なんですか?」
「……まあ、いつものことだ」
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どう見てもアル中です。本当に有り難う御座いました。
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一方、ランチャーをI=Dに手渡したクロウラーは付近で一番高...
#BR
「コウちゃん、レーダーをよく見ていて。ああやって獲物を狩...
「グレイさん、よく知ってますねえ」
「何、今朝仕入れたばかりの取れ取れさ。よもやこんなに早く...
#BR
そう言ってコウにウインクするグレイ。
#BR
『ボクは前座ですか、刺身のツマですか、そうですか』
「ツマって……」
「馬鹿。前座なくして舞台の成功はないんだよ。さ、源……お手...
『へいへ〜い……よし、ファイエル!!』
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源のかけ声と共に、I=Dが持つランチャーから『ぽしゅん』と...
元々、集音マイクなどを使用不能にするために作られたもの...
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「「「「「こけえええええええええええええええええええええ...
#BR
すると、どうだろう。ミミズの周りを周回していた鰭が飛び...
#BR
『うぇっ!』
「ふわっ!」
「ちょっ!」
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その色はチャボに似た焦げ茶色。頭頂には発達した鶏冠、そ...
#BR
『ぐ、グレイさん! な、なんであんなにでかいんすか!?』
「小さいものでも2メートルはありますよ!?」
「あのデカブツはアメショーと変わらんなぁ」
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そう、でかい。先日のミミズはもっとでかかったが、インパ...
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「いや、大きいってのは聞いてたんだけど……あそこまでとは」
『まったく、そのすっとこどっこい、なんとかして下さいよ!』
「源さんのI=D一機じゃ無理ですよっ」
「いや、ふらついてる今ならなんとか……源! こいつを渡す!...
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そしてグレイはキーボードを叩く。すると再びクロウラーの...
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『ちょっ、こ、これってグレイさん!?』
「おう、それ使え! で、コウちゃん、リーダーが出てきたら...
「え!? 出るって……ちょっとグレイさん!」
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§ § ...
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「もう、鶏が絡むと神速ですね、グレイさんは」
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その頃、駐屯基地からキャットバスケットが一機発進した。...
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「……王様も面白がっちゃって……困ったもんです」
「ま、しょうがないんじゃねえ?」
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その後に立っているのは蒼凪羅須侘。丁度基地で暇を持て余...
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「それでこそ“カオス・パンキッシュ・闇鍋”じゃねえか」
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心配顔のルクスと違って、にやにやとする羅須侘である。向...
#BR
「で、どこのなにが相手だ? 俺も報酬は鶏で構わないからな」
「……その報酬が相手なんですよ」
「……は?」
「これを見て下さい。砂の上に出ているのが鶏冠です。それか...
#BR
ルクスに手渡された写真を見て、羅須侘は顔をしかめる。
#BR
「ひょっとして、スーナーニワトリか?」
「え!? ご存じなんですか?」
「ああ。ここいらじゃ絶滅したとか言ってるらしいが冗談じゃ...
#BR
そう言いつつ、羅須侘はコ=パイロット席のキーボードを叩...
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「こいつの武装で足りるかな……お、丁度いいのがあるな」
「ちょ、羅須侘さんっ」
「ん? ああ、俺が諸国を放浪してたのは知ってるよな? 丁...
「はい」
「奴らが出てきたのさ。どうも周期的に餌場を変えるらしくて...
「ひょっとして、数が多い……とか?」
「いや、数はそうでもなかったけど、なにしろでけぇのよ。大...
「え゛」
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顔面蒼白になるルクス。もうそれは単なる鶏ではなく、モン...
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「それと厄介な事に……ん?」
「? どうしました?」
「いや、ソナーに反応があった。この先5キロってとこか」
「ええ、急ぎましょう」
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§ § ...
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源が駆るI=Dの目の前の砂地に、太陽の輝きを反射させて突き...
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「エクスカリバール!?」
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そう、グレイが有事の時に使用する主武装。彼の持つものは...
そして今、I=Dがそれを掴む。I=D用に作られたようで、その...
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「どうせならトンファーかヌンチャクの方がいいんだけどなあ…...
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そして、バールを一振りして、源は己がI=Dをスーナーニワト...
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「行くぞ、ニワトリ王! ぶち撒ける脳漿は十分かっ!」
『なんか混ざってません?』
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レーダーを見ながらも、源からの無線の声を聞いて突っ込み...
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「どりゃあああああああああっ!」
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雄叫びと共に、一番身近なスーナーニワトリに殴りかかる。...
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「くけええええええええええっ」
#BR
そして横薙ぎ一閃。殴られたスーナーニワトリは一声鳴いて...
#BR
「うにゃにゃ!」
「バックラッシュ27%だって?……どんだけ固いんだ? こいつ...
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すると、仲間の悲鳴で我に返ったのか、残りの四匹が頭を振...
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「やべっ、急がないと……シェンマ、バーニア最大!」
「にゅ」
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そして手近の二匹に連続で襲いかかる。この辺りの動きは素...
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「こくぅあ!」
「くけえええええええぇぇぇぇ」
「うし!」
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流れるような連続攻撃を繰り出し、次々とスーナーニワトリ...
#BR
「うわっ!」
「「うにゃっ!」」
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背後から強烈な衝撃を受けてI=Dが吹っ飛ぶ。5メートルは飛...
#BR
「こっこっこっこっ」
「くけえっ!」
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残った二匹のうち、一際でかい奴がI=Dにぶちかましたのであ...
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「やば……今のでどっかいったかな?」
「うにゃ! うにゃ!」
「そうか、騙し騙し行くか、頼む。イングリッド、シェンマの...
「にゃ!」
「さて、ますます面白くなって参りましたかねえ」
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先程のショックで打ち付けたのか、額から流れてきた血を指...
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§ § ...
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『グレイさん! レーダーに新たな反応! 来ました、リーダ...
「おいでなすったか……源の様子は?」
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後部で何やら準備をしているグレイの元に、コウがコクピッ...
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『二匹は倒したようですが、大きいのに体当たりされて……体勢...
「……奴らも一筋縄ではいかんか」
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苦々しく呟くグレイ。すると、車内に再びアラーム音が響き...
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「何だ?」
『って、わ! 上空から何か来ます!』
「何だって!?」
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コウはサーモレーダーを注視していたので、アラームがなる...
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『って、このビーコンは……羅幻軍の! 助けが来ました!』
『グレイ殿! 源殿! 助っ人参上だ!!』
『援護します! 指示を!!』
「旦那! 閣下! 恩に着る! 源の方へ向かってくれ!!」
#BR
そして、上空から迫ってきたキャットバスケットが爆音を轟...
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「コウちゃん! 君は下がって待機! 源! 聞いたか? と...
『は、はい!』
『まかいときっ!』
「ターゲットは俺の相手のグループリーダーだ! 捕獲次第、...
『『『『ヤー・ボール!!』』』』
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そして、ウォードレスをまとったグレイが向かう先は、現在...
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「さて、どんな奴かな……お」
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そこには。
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「こけ」
「あら、お手頃サイズ」
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先程いた五匹のものよりかなり小さい……それでも普通の鶏の...
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「くぅ?」
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色はこげ茶というよりも黒に近く、左目には何故か傷が入っ...
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「なかなか貫禄あるじゃないか……じゃ、お手並み拝見といこう...
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そしてグレイは背中に装着していたエクスカリバールを抜き...
#BR
「ぐをっ」
「くぉっ」
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はしっとばかりに嘴で咥えるリーダー……。力が拮抗している...
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「のやろっ、やるじゃねえかっ」
「くぉくぉくぉっ」
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#BR
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§ § ...
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一方、他の三人の戦況はと言うと。
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「こけっ、こけっ、こけっ」
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二匹のうちの小振りな方に、キャットバスケットからの銃弾...
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「しかし、上手いことこんなものがあって良かったなあ」
#BR
操縦桿を操りながら、器用に射撃を繰り返すルクスが呟く。...
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「さあ、源さん、頑張って!」
『ありがと、宰相閣下! 帰ったらとっておきをごちそうしま...
「あはは、お気になさらず! こっちの一匹は……」
『俺達がやってやるぜぇぇぇぇぇ!』
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叫びながら、地面に着陸するウォードレス……羅須侘である。...
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『くくく、久々のステゴロだぜ……腕が鳴る……俺を満足させろよ...
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そして、神速の動きで相手に肉薄、右のファーストブローが...
#BR
「くきゃあっ!」
『う……流石に堅ぇえな、おい』
「羅須侘さん、無理はしないで!」
『ああ、判ってらあな!』
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一方の源も、操縦系統が自分だけになったとは思えない動き...
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『この状態でも、タイマンだったら負けないっ』
「こ、こけっ、こけっ」
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手にしたエクスカリバールを操りながら、右へ左へ俊敏な動...
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『まだ倒れない? 一体どんな体力してんねんな!?』
「源さん、焦っちゃ駄目だ! そっちにも援護に行きましょう...
『大丈夫ですよ……閣下は羅須侘さんの援護を』
#BR
そう、図体がでかいということは、耐久力もでかいのであろ...
#BR
『早くしないと……他の奴等が起きたら厄介だぞ……グレイさん!...
『すまん、もうちょい頑張ってくれ!! ……流石はリーダーなだ...
#BR
そして、グレイの方もかなり苦戦している様子。無線を通じ...
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『あなたがそこまで苦戦しますか……頼みます、こちらも何とか...
「……仕方ない。源、リミッター解除する。後は頼むぞ?」
『え!?』
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グレイのリミッター解除……昔、一度だけそれを目の当たりに...
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『ちょっ、まっ』
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§ § ...
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コウは考えていた。自分は待機しなければならない立場では...
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「何かないかな……あ、これ……まだ使えるのかな?」
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そんな思いを胸に、クロウラー後部の荷台に何かを探しに入...
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「弾がまだある! これをさっきの……コクピットに連動させて…...
#BR
その横にある、エクスカリバールを射出した装置を立ち上げ...
#BR
「これで……行けるはず!! 『みんな、聞こえる? 今からさっ...
#BR
無線を開いて各人にそう告げると、みんなの反応が返ってき...
#BR
『ナイス、コウちゃん! ヤー・ボール!』
『OK! じゃあ、仕上げだな!』
『良かった……リミッター解除されなくて済んだ……って、え!? ...
『源さん、センサー類を一旦、猫士に切らせて!』
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一部がてんやわんやになってはいるが、時間もない。コウは...
#BR
「行くわね! 発射!!」
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『ぽしゅん』という音がして後部の射出装置から弾が放たれ...
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「「「くけえええええええええええええええええええええええ...
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その音に反応して飛び上がった後、前後不覚の状態になる三...
#BR
『今だ! 『約束された撲殺の金梃』ーーーーーーーーーー!!』
『必殺! 『S(スペシャル)! R(ラスタ)! T(サン...
『ミナ(源己)! バウアー(相殺拳)! どーん!!』
#BR
三人それぞれの必殺技が炸裂する。その強烈な一撃に沈んで...
#BR
「やったああああ!!」
『ふう……終わりましたか……』
『うむ、コウ殿、GJだ!』
『はい! 金メダル!』
『……馬鹿女』
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#BR
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§ § ...
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「ちょっと、源さん! どういうつもりですかっ!!」
「……源、やりすぎ」
#BR
その後、リーダーを回収して撤収してきた一行は、使用した...
#BR
「え……ボ、ボク?」
「ああもう! 女の子が顔に傷をつけてどうするんですか!!」
「何にやられた? 背部装甲が80%破損、操縦系及びセンサー...
#BR
噛み付かんばかりの勢いの倖に対して、ヴィスは基本的に無...
#BR
「それに眼鏡も割れてしまってます! もう、大事にしなきゃ...
「……ひょっとしてそっちが本命?」
「本気で怒りますよ?」
「ちょ、ごめ……」
「ま、生きて帰った。良しとするか」
#BR
そんな三人のやり取りを横目で見ながら、他の三人は今回の...
#BR
「いや、流石はコウさんだ。あれがなかったら今頃どうなって...
「そ、そんなことないですよっ」
「そんなことはある。コウ殿、恩に着る」
「ら、羅須侘さんまで……」
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ルクスと羅須侘に絶賛されて照れ照れのコウであった。
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「みんな、お疲れ様〜♪」
「あ、陛下」
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そこに現れたるは、羅幻雅貴女王陛下。にこにこと言う擬音...
#BR
「手こずったみたいだねえ。でもまあ、心配はしてなかったよ♪」
「陛下の先見の明のお陰ですよ……手前味噌ながら、私達が援軍...
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苦笑いするルクス。この女性が何気なくやる事には、必ず意...
#BR
「まあ、グレイさんのことだからねえ……蓮田屋さんに聞いてた...
「そういえば仰ってましたよね。『あの方は何でもできるけど...
「そうだな……グレイ殿は臨機応変に過ぎるな。まあ、それも彼...
「あの人のすっとこどっこいは筋金入りですからねえ」
#BR
そこにしつこく食い下がる二人から逃げてきた源が割って入...
#BR
「源さん! 手当が終わるまでお酒飲んじゃ駄目!」
「ぎゃふん」
#BR
つもりだった。
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「……終わり良ければ全て良し」
「あはは、ヴィスさんの言う通りだよね……そう言えばグレイさ...
「ああ、グレイ殿なら……」
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#BR
#BR
§ § ...
#BR
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「はい、グレイさん。終わりましたよ」
「イタタタタ……ささみちゃん、包帯締め過ぎ……」
#BR
そのグレイは、スーナーニワトリのリーダーを連れて、養鶏...
#BR
「何を言ってるんですか! こんな酷い怪我をしてきて! 死...
「いや、それは流石に言い過ぎじゃない?」
「グレイさん! 早速、つがいにして部屋に入れておきました...
「お、そうですか。楽しみですね」
「……もう」
#BR
そして数日後、無事に目論み通りの素晴らしい食用鶏が生ま...
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#BR
#BR
ちなみに……
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#BR
#BR
「きゃー! グ、グレイさ〜んっ」
「どうした、ささみちゃん?」
「またタクローがっ、タクローがあぁ!」
「ごるぅあ! タクロー! いい加減にってどわあああ!!」
「くけえええええええ!!」
#BR
すっかりグレイと意気投合し、『タクロー』と名付けられた...
#BR
#BR
#BR
〜Fin.〜
#BR
#HR
#BR
終了行:
*王立図書館5F [#na8f83e4]
イベントなどで提出するSS等の文章類を掲示しております。
#contents
**源様作『羅幻王国のとある国民の休日』 [#zef202b0]
近頃、戦続きで若干慌しくある羅幻王国内。慌しいながらも...
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「……出汁がちょっと薄いかなぁ。でも、このお揚げはグーだね...
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昼時、賑わううどん屋のカウンターで、彼女は一人ちゅるち...
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「あー、せっかくなんだし、ヴィスちゃんでも誘えば良かった...
#BR
どんぶりの中身を半分程残しつつ、一旦箸を置いた彼女は、...
出会いについては割愛しておく。述べるまでもない内容であ...
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「へい、らっしゃい!」
#BR
がらがらっと小気味のいい音を立てて店の扉が開かれた。カ...
#BR
「いや、いいって、ボクお腹空いてないからさぁ」
「ダメです。そんな事言って貴女この二日何も食べてないでし...
「ほんと減ってないんだってばー」
#BR
やいのやいの言いながら来店してきた二人、酔いどれパイロ...
カウンターから振り返ったごまるは、その二人を見るやいな...
#BR
「おーい、こっち空いてるよー」
「あ、ごまるちゃんじゃん」
「あら、いらしてたんですね、彼女」
#BR
声をかけられた二人は、一時口論を止め、大人しくごまるの...
#BR
「ゆっきーはともかく、みなもっちゃんをこんな所で見るのっ...
#BR
残ったうどんをやっつけながら、ごまるは座った二人の顔を...
#BR
「源さんったら、放って置いたら何日でもお酒と煙草だけで過...
「はっはっは。ゆっきーはエライなぁ」
「死なない程度には食べてるんだけどねぇ」
「死なない程度って何ですか! 健康的に毎日三食食べましょ...
「えー」
「ゆっきー……あれはちょっと無理だと思うよ? 普通の女の子...
「あ……」
#BR
ヴィスの食の鉄人ぶりは、羅幻王国では割と有名になりつつ...
『喰い改めよ』
ある種の威厳すら感じられる一言であった。ちなみにこれは...
#BR
「と、とにかく。おじさん、私はざるうどんをお願いします」
#BR
こほんと一つ咳払いをした倖は、気を取り直すようにして店...
#BR
「んー、じゃぁ、おっちゃん。ボクはビールとかけうどん」
「って、源さんっ! 何昼間から頼んでるんですか!」
「ビールなんてアルコールの内入らないから大丈夫だって」
「もう〜!」
「あっはっは」
#BR
源と倖のやり取りに笑いをこぼすごまる。気づけば既にどん...
さてどうした物かと思案している間に、横の二人の目の前に...
#BR
「ごまるちゃんもう食べ終わってんだ」
「二人が来る前にはもう半分以上食べてたしー。っと、これか...
#BR
早速ビールの栓を抜いてグラスに注ぎつつ言う源に対し、ご...
#BR
「これからの予定は決めてないんですか?」
「何かあった気がするんだけど……」
#BR
何も考えずにぽややんと気が向くまま、このうどん屋を訪れ...
#BR
「はて?」
#BR
首を傾げて見たものの、ぼんやりとしたイメージしか浮かん...
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「い、いたっ!」
「「?」」
#BR
凄まじい音を立てて開かれた入り口の扉。そしてそこに現れ...
#BR
「あれ? 兄者どしたのかな?」
「どうしたもこうしたもありませんよ!」
#BR
ごまるの言う兄者―-羅幻王国宰相ルクスは、肩で息をしなが...
何とも驚きな事実なのだが、ごまるはルクスの妹という事ら...
#BR
「貴女今日が何の日か忘れてませんか!? 妹者!」
「ほえ?」
「「…………」」
#BR
珍しく声を荒げるルクスに、ごまるは素っ頓狂な声を上げ、...
#BR
「……今日のルクスさん凄いね、何か」
「……いつもは物腰柔らかいですもんねぇ、あの人」
#BR
ぼそぼそと脇でやり取りする二人の声に、ルクスは気づかな...
#BR
「今日は国民の休日ですよねぇ?」
「うん」
「イベントがありましたよねぇ?」
「え、何それ? 兄者」
#BR
さり気なく源からビールを注いでもらいつつ、ごまるは聞き...
#BR
「何飲もうとしてんですかッ! そんな事してる場合じゃない...
#BR
身内ならではの遠慮の無さだろうか? 普段のルクスならま...
#BR
「あ痛! 痛いってば兄者! 取れるっ! 耳取れるって!」
「いいから来なさい! ほら駆け足! あ、店主。そこの二人...
「ありがとうございましたー」
「「…………」」
#BR
まるで台風一過とでも言うべきか。全員分の勘定を置いてか...
#BR
「何だったんだろね、ありゃ」
「わ、私に聞かれても……」
#BR
※
#BR
今日も今日とて、国民の休日とはいえ忙しない動きを見せて...
#BR
「最近は仕事が多くて、まともな休日が取れなくて困るよ」
「いつもながら大変そうですねぇ……あ、お代わりはたくさんあ...
「了解した。私に任せてくれ」
「……って、おい。何でお前もいるんだ」
「?」
#BR
視察がてらに訪れた養鶏所の事務所にて、ささみから昼食の...
#BR
「……ささみさん、もうちょっと濃い味付けでも良いかも知れな...
「俺の突っ込みは無視か、ヴィスよ。ちなみにこれ以上濃くし...
「ふむ、そういう物ですか」
「あっ、てめっ、俺の照り焼き返せ!」
「食卓は戦場故、油断される貴方が悪い」
「何を言うかこのっ」
「…………」
#BR
ささみ自身、いつの間にやら現れたヴィスの存在に対し、思...
ぶっちゃけ、思考回路の段階がずれているだけなのだが。
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「……って、何だろ、この状況」
「命短し恋せよ乙女、ってか」
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気配を殺してささみの背後に近寄っていた人物、蒼凪羅須侘...
#BR
「…………」
「どうしたい、ささみちゃんよう。何か言いたそうだが?」
「いえ、もう何があっても驚きませんけど、一体いつの間に?」
「野暮ったい事言うなよ。俺も御相伴に預からせてもらいたく...
「……はぁ。追加分の料理を作ってきますね、私」
「ありがてぇっ。ほらほらー、グレイ殿にヴィス殿やーい、ち...
「む……新たな敵」
「旦那まで……うかうかしてられないな」
「…………」
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大して疲れてもいないのに、疲労感ばっちりの溜息を吐くさ...
ぶぅんと鈍い音を立ててテレビに光が点る。それと同時に、...
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「「?」」
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食堂にいた全員が、テレビの方へと向き直る。
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「そう言えば……」
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箸で唐揚げをつまみながら、ぼそりと呟くヴィス。
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「今日は国営放送で特別番組が、あったか」
「あー、そういやそうだったっけな」
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追従するように、羅須侘とグレイが空中で料理の取り合いを...
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『M*1開催でーーす』
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ブラウン管の中では、特注のにゃうんどがーるの衣装に身を...
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※
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「「ぶーっ」」
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倖と源は、うどん屋のカウンターで二人同時にうどんを吹き...
原因はカウンター脇のテレビから流れてくる映像である。
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「宰相が言ってたのって……」
「あのにゃうんどがーるの事だったんですねぇ……」
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汚れた口元を拭う事もせず、ぽかんとテレビを眺める二人。...
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「あの子、何かスケール大きいね。倖ちゃん」
「私もそう思います。源さん」
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※
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「でさぁ、兄者。何で私こんな事してんだろ?」
「本番中に何を言ってるんですか妹者!」
「宰相AD! 声入ってる!」
「あっ! すいませんっ!」
「……何でなんだろ。まぁ、いいけどぅ」
**グレイ様作『羅幻コーチン誕生秘話〜スーナーニワトリ捕獲...
羅幻王国の朝は早い。
技術大国とはいえ、それを支えるのはやはり一次産業就労者...
その中でも、一鳴きどころか百鳴きも千鳴きも響き渡る場所...
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「おお、グレイさん。おはようございます」
「おはようございます、監督。今日もいい天気ですねぇ」
「グレイさん! 昨夜3匹が羽化しましたよ!」
「おっ、いい感じじゃないですか」
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貢献率上昇の立役者、グレイ。この男、宮殿出仕者のくせに...
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「グレイさん、はい、お弁当です」
「お、ささみちゃん、いつも済まないな」
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事務仕事をしているここの監督の娘、ささみが現れてグレイ...
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「今日はゆっくりしていかれるんですか?」
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何やらはにかみながらグレイを見上げるささみ。二人の身長...
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「うん、急ぎの案件はないし、少しだけお邪魔させてもらうよ」
「ほ、ほんとですかっ、じゃ、じゃあ宜しければこちらでお茶...
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ぱあっと表情が輝き、グレイにそんな事を提案しようとする...
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「自家生産の方の目処がまだ立ってないから、色々と対策を練...
「あ……」
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一気にがっくりと項垂れるささみ嬢。耳と尻尾もへにゃっと...
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「ささみ、ひょっとして……」
「お父さんはうるさい」
「まあ、あの御仁、そういうのには鈍そうだからな。もっと積...
「だからうるさい」
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花より団子とは、正にこのことである。
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『羅幻コーチン誕生秘話〜スーナーニワトリ捕獲すちゃらか大...
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「警戒情報ラインに侵入形跡?」
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ところ変わってここは羅幻王国宮殿内にある国王執務室。そ...
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「あらん、穏やかじゃないわねえ」
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蓮田屋からの報告を受けて、羅幻とかちゅーしゃが目を丸く...
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「先に私の見解を申し上げると、外敵のものではないとは思う...
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眼鏡の位置を直しながらそう告げる蓮田屋。その表情は困惑...
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「国境防衛隊からの報告書を見ると、砂漠……北側に限られてい...
「ええ、それもこのところ頻繁に。報告が来ていますけど……妙...
「妙……と言うと?」
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報告書の内容を一通り目を通したルクスが気づいた点を上げ...
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「サーモレーダーにしか反応がないんですよ……しかも地下だけ...
「「「地下!?」」」
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軍師の言葉に残りの三人が声を合わせる。軍師の言葉通りな...
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「……妙でしょう? 潜水艦ならぬ潜砂艦なんて聞いたことあり...
「じゃ、新手の根源種族とかかしらん?」
「そ、それって大問題じゃないですかっ!」
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口調は変わらないが、かちゅーしゃの表情が真面目のものに...
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「ああ、御免なさい。最初に言っておいたんですが、言葉足ら...
#BR
そう言うと蓮田屋は手元のリモコンを操作して、壁に埋め込...
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「……何も映ってないわよん?」
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モニターの映像は、地平線まで続く砂漠の丘陵のものであっ...
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「ここの所を良く見て下さいな」
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蓮田屋が胸元に差してあったペンを伸ばして、映像の一点に...
#BR
「「何ですか、こりゃ?」」
「……ええ、そう仰ると思ってました。これはおそらく」
#BR
そこには……何やら茶色っぽい……例えて言うと、鮫の鰭のよう...
#BR
「あ〜! 思い出した!!」
「「「陛下?」」」
#BR
そこで、それまでずっと黙っていた羅幻がいきなり叫んだ。...
#BR
「それは……」
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「問題は夏ですか……」
#BR
戻ってこちら養鶏場。新規に作られた飼育場で、担当のネッ...
#BR
「はい。ご存じかとは思いますが、元々ここらの地鶏……羅幻鶏...
「ええ」
「その間、うちは開店休業ですみたいなもんです。雌鶏は卵を...
「そうだね……このままだと、安定供給にはほど遠いな」
#BR
勿論、ここの養鶏場も空調を完備しているものの、羅幻鶏が...
#BR
「今までに何度も改良案は出てるんですがね……大体、暑さに強...
#BR
そしてネック氏は養育カプセルの中にいる、昨夜生まれたば...
#BR
「第一に、出生率の低さ。そして、肉質の低下。どうしても身...
「うーん」
#BR
グレイが手を出すと、無邪気にぴよぴよぴよと寄ってくるひ...
#BR
「せめて、あの鶏が発見されれば……」
「……あの鶏?」
#BR
ネック氏の呟きに訝しげな表情を見せるグレイ。彼の記憶野...
#BR
「ええ、絶滅したと言われていますが、僕はそう思いません」
「またどうして?」
「奴らほど過酷な環境に耐えうる鶏はいませんから。恐らくは…...
「恐らくは?」
「縄張りを移動させただけだと思うんです。ひょっとしたら渡...
#BR
力説するネック氏。流石のグレイもここは聞き手に回るより...
#BR
「そうか……ならまだ生きてる可能性はあるのかな」
「そうですね。昔っから獰猛な奴らだそうで……僕の曾爺さんが...
「ふむ」
#BR
顎に指を添えて考え込むグレイ……鶏以外の事にもこれくらい...
#BR
「じゃあ、探せばそいつらは必ずみつかる、と?」
「……断言はできませんが、恐らくは」
#BR
台詞自体に説得力はないものの、ネック氏の瞳は力強い輝き...
#BR
「分かりました。全力で探してみましょう……で、その鶏の名前...
「はい、その名は……」
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
#BR
#BR
「「「スーナーニワトリ?」」」
「そう」
#BR
羅幻の言葉に目を丸くする三人である。
#BR
「曾お爺様の代くらいに絶滅したって聞いたけど。私も小さい...
「それが、これですか?」
#BR
ルクスが先程の画面を見詰める。そのフカヒレと鶏がどうに...
#BR
「背中に鰭でもあるんですか?」
「ううん。それ、鶏冠よ」
「とっ、鶏冠って……じゃあ、本体は砂の中ってことなのん?」
「ネズミにミミズに今度はニワトリ……まだまだ勉強が足りない...
#BR
一気にリアルからお笑いの世界に叩き落ちてしまい、会議の...
#BR
「では、どうしましょう。調査隊を出しますか?」
「……そうですね、ちゃんと調べないと気持ち悪いですし」
「そうねん、ここは、やっぱり」
「そうね」
#BR
四人の思いは既に一つのようである。
#BR
「グレイさんにお願いしましょう」
「グレイさんしかいないわん」
「グレイさんが適任ですね」
「グレイさんに任せるにゃ」
#BR
#BR
#BR
「ぶえっくしょい!」
#BR
ぴ〜
#BR
「わっ! ひよこ達が〜!!」
#BR
#BR
#BR
そして、その二時間後。
#BR
「え!? マジですか!!」
「ちょ、落ち着いて下さい、グレイさん」
#BR
宮殿に出仕して直ぐに国王執務室に呼び出されたグレイに、...
#BR
「まだ推測の域は出ませんが……で、全員一致であなたにお願い...
「お任せ下さい」
「いや、まあ、予想通りなんだけどグレイさん。せめてもう少...
#BR
その即答っぷりに困惑しながらも、続けようとするルクスで...
#BR
「あ、グレイさん。パレードの時は有り難うござ……」
「お、コウちゃん、いいところに! 一緒に来て!」
「いましたってきゃ〜!」
#BR
そんな声が執務室の外から聞こえてきた。
#BR
「早いにも程がありますよ……」
「大丈夫じゃない? 一応最初に渡した書類に大体の事は書い...
#BR
性格からか、ひたすら心配性のルクスに対して、ひたすら楽...
#BR
「ま、イングリッドとシェンマをつけたからね。あの子達は優...
「……運用する側に問題があるような気がしますけどね」
「うふふ、面白そうねん。私も行こうかしら?」
「駄目ですよ。かちゅーしゃさんは他に仕事があるんですから」
「きゃー、軍師殿、離して〜」
#BR
そして既にグレイに対して信頼を寄せている蓮田屋は、今回...
#BR
「……ホントに大丈夫かなぁ」
「じゃ、ルクスさん。あなたも行って来る?」
「へ?」
#BR
#BR
#BR
§ § ...
#BR
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#BR
『で、なんでボクが連れてこられてるんですかね?』
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がひょん、がひょんと歩くI=Dから通信が入る。それは、この...
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「ここらで名を売っておいた方がいいだろうが?」
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その傍らを走る大型クロウラーの助手席から、グレイはマイ...
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『とか何とか言いながら、なんか企ててるでしょう?』
「そんなはずないだろ? コウちゃんを前線に出したくないだ...
『ちょっ、ボクも女だって!』
『にゃ』
『にゃ』
『ちょっ、猫に肩叩かれたよ、ボク! しかも二匹に左右から...
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どーっと両目から涙を流す源である。
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「……一応冗談だったんだが、流石は陛下直属の猫士だな。空気...
「でも、グレイさん。私がI=D操縦しても良かったんですよ?」
#BR
ステアリングを握りながらコウは、グレイを横目で見ながら...
#BR
「ああ、一応あいつを連れてきたのは理由があるんだ。さっき...
「いえいえそんな。グレイさんにはお世話になってますし、お...
「あはは、それこそ気にする必要ないよ。実は以前、無畏卿に...
「え!?」
#BR
元々大きな目を一杯に見開いてグレイを見るコウ。その表情...
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「ちょっ、コウちゃん危ない!」
「あ、ごめんなさい!」
#BR
危うく横の丘陵に突っ込むところを、慌てて体勢を立て直す…...
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「その、ドクター無畏に作ってもらったって……」
「なるほど、キーワードはそれか」
#BR
羅幻王国民なら当然の反応であった。しかし、彼の名誉の為...
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「いや、単純な格闘用兵器だから爆発とかはしないよ……って言...
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転げ落ちた席に座り直しながら、グレイは続ける。
#BR
「あいつらは表皮が異様に硬いらしいんだ。下手に銃やミサイ...
「なるほど……って必殺!? 殺しちゃうんですか!?」
#BR
必殺、と言う言葉に反応して、コウがうるうるした瞳でグレ...
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「あ、いや。言葉の綾だよ……悪かったから、前見て運転してね」
『つまり、グレイさんの得意な『撲殺』で行くわけですね』
「だから、殺さないって」
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そこに割って入った源に苦笑混じりで返すグレイ。なんと物...
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「で、まあ、そういうものの扱いにかけては源はピカイチなん...
『そんな言葉には騙されませんよ? つまりは厄介事を押しつ...
「だから大丈夫だって」
『……まあ、いいでしょう。で、その格闘用兵器って一体なんな...
「それはな……」
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その時、クロウラーに積まれたサーモレーダーに何かが反応...
#BR
「グレイさん! レーダーに反応がっ!」
「おいでなすったか……源、頼むぞっ」
「りょーかーいー」
#BR
気合いの入ったグレイの声とは正反対に間延びして緊張感ま...
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「0時の方向……何かいます!」
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§ § ...
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「普段は砂漠の砂地が柔らかい所に潜ってるんです」
「……もぐらみたいだな」
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少し時間は遡って、再び養鶏場にある飼育場。飛んでいった...
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「ええ、ですが、鶏冠は外に出しっぱなしなんですよ」
「……そこは鮫みたいだな。面白い生態してるなあ」
「ええ、まるで双方のいいところを勉強したみたいですよね」
「ふむ」
「で、狩りの時には群れのリーダーが率いるグループ単位で動...
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ネックはその流れをホワイトボードに書きながら説明する。...
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「なるほど……出来ればそのリーダーを捕らえたいな」
「そうですね。種付け鶏にするなら、やはりリーダーでしょう...
「じゃ、そのグループをどうにかしないといけない訳か……リー...
「いや、どうでしょう。群れで一番強い雄鶏らしいですけど、...
「あー、なんか別の動物の捕獲っぽくなってきたなあ……」
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グレイはにわかに戸惑っていた……今までの知識とかけ離れた...
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「それはそうと……美味いのかなぁ」
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……戸惑っていた。
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「あ、喰えたもんじゃないですよ?」
「ええ!?」
「ただ、他の鶏と掛け合わせれば、素晴らしい鶏が生まれると...
「……思います?」
「……思います」
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……二人の間に一種異様な空気が流れていた。
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「お、と。そろそろ行かないとやばいな……じゃ、ネックさん。...
「あ、はい。それにかかってると言っても過言ではないので、...
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そしてグレイがその場を去ろうとした時、飼育場の扉が開い...
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「失礼しまーす、お茶お持ちしましたー」
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現れたのはささみ嬢。両手に持ったトレイには、グラスにつ...
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「あ、ささみちゃん、ゴメン。もう行かなきゃ」
「え? そ、そうなんですか?」
「うん。折角だからこのお茶はさっさと頂いていこうかな」
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トレイの麦茶の一つを取って一気のみするグレイ。ささみは...
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「ふう、ご馳走様。良く冷えてて美味かったよ」
「あ、いえいえー」
「慌ただしくてゴメンな? お弁当も、一つ一つ噛み締めて頂...
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そして、すれ違いにグレイは飼育場を出て行った。
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「……ささみちゃん」
「……言わないで、ネックさん」
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§ § ...
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グレイ達の所から100メートル程前方……そこには、一匹のスー...
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「グレイさんっ! ミミズの周りを何かが!」
「ああ、奴らの鶏冠さ。あれは一種の感覚器官でね、ああやっ...
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それはあたかも鮫の鰭のように、スーナーミミズの周りをぐ...
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「よし、みんな、ヘッドフォンをつけて! みなもと、奴らを...
『ほいきた』
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グレイがレバーを引くと、クロウラーの後部ハッチが開き、...
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『イングリッド、ウェイトバランスの調整を。シェンマは着弾...
『『うにゃ』』
『さて、盛り上がって参りましたっと』
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そう言いながら源は手元に置いてあったポケットウイスキー...
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『く〜っ、よし、気合い入ってきたっ』
「……グレイさん、大丈夫なんですか?」
「……まあ、いつものことだ」
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どう見てもアル中です。本当に有り難う御座いました。
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一方、ランチャーをI=Dに手渡したクロウラーは付近で一番高...
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「コウちゃん、レーダーをよく見ていて。ああやって獲物を狩...
「グレイさん、よく知ってますねえ」
「何、今朝仕入れたばかりの取れ取れさ。よもやこんなに早く...
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そう言ってコウにウインクするグレイ。
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『ボクは前座ですか、刺身のツマですか、そうですか』
「ツマって……」
「馬鹿。前座なくして舞台の成功はないんだよ。さ、源……お手...
『へいへ〜い……よし、ファイエル!!』
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源のかけ声と共に、I=Dが持つランチャーから『ぽしゅん』と...
元々、集音マイクなどを使用不能にするために作られたもの...
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「「「「「こけえええええええええええええええええええええ...
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すると、どうだろう。ミミズの周りを周回していた鰭が飛び...
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『うぇっ!』
「ふわっ!」
「ちょっ!」
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その色はチャボに似た焦げ茶色。頭頂には発達した鶏冠、そ...
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『ぐ、グレイさん! な、なんであんなにでかいんすか!?』
「小さいものでも2メートルはありますよ!?」
「あのデカブツはアメショーと変わらんなぁ」
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そう、でかい。先日のミミズはもっとでかかったが、インパ...
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「いや、大きいってのは聞いてたんだけど……あそこまでとは」
『まったく、そのすっとこどっこい、なんとかして下さいよ!』
「源さんのI=D一機じゃ無理ですよっ」
「いや、ふらついてる今ならなんとか……源! こいつを渡す!...
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そしてグレイはキーボードを叩く。すると再びクロウラーの...
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『ちょっ、こ、これってグレイさん!?』
「おう、それ使え! で、コウちゃん、リーダーが出てきたら...
「え!? 出るって……ちょっとグレイさん!」
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§ § ...
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「もう、鶏が絡むと神速ですね、グレイさんは」
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その頃、駐屯基地からキャットバスケットが一機発進した。...
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「……王様も面白がっちゃって……困ったもんです」
「ま、しょうがないんじゃねえ?」
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その後に立っているのは蒼凪羅須侘。丁度基地で暇を持て余...
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「それでこそ“カオス・パンキッシュ・闇鍋”じゃねえか」
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心配顔のルクスと違って、にやにやとする羅須侘である。向...
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「で、どこのなにが相手だ? 俺も報酬は鶏で構わないからな」
「……その報酬が相手なんですよ」
「……は?」
「これを見て下さい。砂の上に出ているのが鶏冠です。それか...
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ルクスに手渡された写真を見て、羅須侘は顔をしかめる。
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「ひょっとして、スーナーニワトリか?」
「え!? ご存じなんですか?」
「ああ。ここいらじゃ絶滅したとか言ってるらしいが冗談じゃ...
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そう言いつつ、羅須侘はコ=パイロット席のキーボードを叩...
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「こいつの武装で足りるかな……お、丁度いいのがあるな」
「ちょ、羅須侘さんっ」
「ん? ああ、俺が諸国を放浪してたのは知ってるよな? 丁...
「はい」
「奴らが出てきたのさ。どうも周期的に餌場を変えるらしくて...
「ひょっとして、数が多い……とか?」
「いや、数はそうでもなかったけど、なにしろでけぇのよ。大...
「え゛」
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顔面蒼白になるルクス。もうそれは単なる鶏ではなく、モン...
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「それと厄介な事に……ん?」
「? どうしました?」
「いや、ソナーに反応があった。この先5キロってとこか」
「ええ、急ぎましょう」
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§ § ...
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源が駆るI=Dの目の前の砂地に、太陽の輝きを反射させて突き...
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「エクスカリバール!?」
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そう、グレイが有事の時に使用する主武装。彼の持つものは...
そして今、I=Dがそれを掴む。I=D用に作られたようで、その...
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「どうせならトンファーかヌンチャクの方がいいんだけどなあ…...
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そして、バールを一振りして、源は己がI=Dをスーナーニワト...
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「行くぞ、ニワトリ王! ぶち撒ける脳漿は十分かっ!」
『なんか混ざってません?』
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レーダーを見ながらも、源からの無線の声を聞いて突っ込み...
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「どりゃあああああああああっ!」
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雄叫びと共に、一番身近なスーナーニワトリに殴りかかる。...
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「くけええええええええええっ」
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そして横薙ぎ一閃。殴られたスーナーニワトリは一声鳴いて...
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「うにゃにゃ!」
「バックラッシュ27%だって?……どんだけ固いんだ? こいつ...
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すると、仲間の悲鳴で我に返ったのか、残りの四匹が頭を振...
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「やべっ、急がないと……シェンマ、バーニア最大!」
「にゅ」
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そして手近の二匹に連続で襲いかかる。この辺りの動きは素...
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「こくぅあ!」
「くけえええええええぇぇぇぇ」
「うし!」
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流れるような連続攻撃を繰り出し、次々とスーナーニワトリ...
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「うわっ!」
「「うにゃっ!」」
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背後から強烈な衝撃を受けてI=Dが吹っ飛ぶ。5メートルは飛...
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「こっこっこっこっ」
「くけえっ!」
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残った二匹のうち、一際でかい奴がI=Dにぶちかましたのであ...
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「やば……今のでどっかいったかな?」
「うにゃ! うにゃ!」
「そうか、騙し騙し行くか、頼む。イングリッド、シェンマの...
「にゃ!」
「さて、ますます面白くなって参りましたかねえ」
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先程のショックで打ち付けたのか、額から流れてきた血を指...
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§ § ...
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『グレイさん! レーダーに新たな反応! 来ました、リーダ...
「おいでなすったか……源の様子は?」
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後部で何やら準備をしているグレイの元に、コウがコクピッ...
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『二匹は倒したようですが、大きいのに体当たりされて……体勢...
「……奴らも一筋縄ではいかんか」
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苦々しく呟くグレイ。すると、車内に再びアラーム音が響き...
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「何だ?」
『って、わ! 上空から何か来ます!』
「何だって!?」
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コウはサーモレーダーを注視していたので、アラームがなる...
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『って、このビーコンは……羅幻軍の! 助けが来ました!』
『グレイ殿! 源殿! 助っ人参上だ!!』
『援護します! 指示を!!』
「旦那! 閣下! 恩に着る! 源の方へ向かってくれ!!」
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そして、上空から迫ってきたキャットバスケットが爆音を轟...
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「コウちゃん! 君は下がって待機! 源! 聞いたか? と...
『は、はい!』
『まかいときっ!』
「ターゲットは俺の相手のグループリーダーだ! 捕獲次第、...
『『『『ヤー・ボール!!』』』』
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そして、ウォードレスをまとったグレイが向かう先は、現在...
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「さて、どんな奴かな……お」
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そこには。
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「こけ」
「あら、お手頃サイズ」
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先程いた五匹のものよりかなり小さい……それでも普通の鶏の...
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「くぅ?」
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色はこげ茶というよりも黒に近く、左目には何故か傷が入っ...
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「なかなか貫禄あるじゃないか……じゃ、お手並み拝見といこう...
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そしてグレイは背中に装着していたエクスカリバールを抜き...
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「ぐをっ」
「くぉっ」
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はしっとばかりに嘴で咥えるリーダー……。力が拮抗している...
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「のやろっ、やるじゃねえかっ」
「くぉくぉくぉっ」
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§ § ...
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一方、他の三人の戦況はと言うと。
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「こけっ、こけっ、こけっ」
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二匹のうちの小振りな方に、キャットバスケットからの銃弾...
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「しかし、上手いことこんなものがあって良かったなあ」
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操縦桿を操りながら、器用に射撃を繰り返すルクスが呟く。...
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「さあ、源さん、頑張って!」
『ありがと、宰相閣下! 帰ったらとっておきをごちそうしま...
「あはは、お気になさらず! こっちの一匹は……」
『俺達がやってやるぜぇぇぇぇぇ!』
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叫びながら、地面に着陸するウォードレス……羅須侘である。...
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『くくく、久々のステゴロだぜ……腕が鳴る……俺を満足させろよ...
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そして、神速の動きで相手に肉薄、右のファーストブローが...
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「くきゃあっ!」
『う……流石に堅ぇえな、おい』
「羅須侘さん、無理はしないで!」
『ああ、判ってらあな!』
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一方の源も、操縦系統が自分だけになったとは思えない動き...
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『この状態でも、タイマンだったら負けないっ』
「こ、こけっ、こけっ」
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手にしたエクスカリバールを操りながら、右へ左へ俊敏な動...
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『まだ倒れない? 一体どんな体力してんねんな!?』
「源さん、焦っちゃ駄目だ! そっちにも援護に行きましょう...
『大丈夫ですよ……閣下は羅須侘さんの援護を』
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そう、図体がでかいということは、耐久力もでかいのであろ...
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『早くしないと……他の奴等が起きたら厄介だぞ……グレイさん!...
『すまん、もうちょい頑張ってくれ!! ……流石はリーダーなだ...
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そして、グレイの方もかなり苦戦している様子。無線を通じ...
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『あなたがそこまで苦戦しますか……頼みます、こちらも何とか...
「……仕方ない。源、リミッター解除する。後は頼むぞ?」
『え!?』
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グレイのリミッター解除……昔、一度だけそれを目の当たりに...
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『ちょっ、まっ』
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§ § ...
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コウは考えていた。自分は待機しなければならない立場では...
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「何かないかな……あ、これ……まだ使えるのかな?」
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そんな思いを胸に、クロウラー後部の荷台に何かを探しに入...
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「弾がまだある! これをさっきの……コクピットに連動させて…...
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その横にある、エクスカリバールを射出した装置を立ち上げ...
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「これで……行けるはず!! 『みんな、聞こえる? 今からさっ...
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無線を開いて各人にそう告げると、みんなの反応が返ってき...
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『ナイス、コウちゃん! ヤー・ボール!』
『OK! じゃあ、仕上げだな!』
『良かった……リミッター解除されなくて済んだ……って、え!? ...
『源さん、センサー類を一旦、猫士に切らせて!』
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一部がてんやわんやになってはいるが、時間もない。コウは...
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「行くわね! 発射!!」
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『ぽしゅん』という音がして後部の射出装置から弾が放たれ...
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「「「くけえええええええええええええええええええええええ...
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その音に反応して飛び上がった後、前後不覚の状態になる三...
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『今だ! 『約束された撲殺の金梃』ーーーーーーーーーー!!』
『必殺! 『S(スペシャル)! R(ラスタ)! T(サン...
『ミナ(源己)! バウアー(相殺拳)! どーん!!』
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三人それぞれの必殺技が炸裂する。その強烈な一撃に沈んで...
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「やったああああ!!」
『ふう……終わりましたか……』
『うむ、コウ殿、GJだ!』
『はい! 金メダル!』
『……馬鹿女』
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§ § ...
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「ちょっと、源さん! どういうつもりですかっ!!」
「……源、やりすぎ」
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その後、リーダーを回収して撤収してきた一行は、使用した...
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「え……ボ、ボク?」
「ああもう! 女の子が顔に傷をつけてどうするんですか!!」
「何にやられた? 背部装甲が80%破損、操縦系及びセンサー...
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噛み付かんばかりの勢いの倖に対して、ヴィスは基本的に無...
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「それに眼鏡も割れてしまってます! もう、大事にしなきゃ...
「……ひょっとしてそっちが本命?」
「本気で怒りますよ?」
「ちょ、ごめ……」
「ま、生きて帰った。良しとするか」
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そんな三人のやり取りを横目で見ながら、他の三人は今回の...
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「いや、流石はコウさんだ。あれがなかったら今頃どうなって...
「そ、そんなことないですよっ」
「そんなことはある。コウ殿、恩に着る」
「ら、羅須侘さんまで……」
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ルクスと羅須侘に絶賛されて照れ照れのコウであった。
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「みんな、お疲れ様〜♪」
「あ、陛下」
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そこに現れたるは、羅幻雅貴女王陛下。にこにこと言う擬音...
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「手こずったみたいだねえ。でもまあ、心配はしてなかったよ♪」
「陛下の先見の明のお陰ですよ……手前味噌ながら、私達が援軍...
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苦笑いするルクス。この女性が何気なくやる事には、必ず意...
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「まあ、グレイさんのことだからねえ……蓮田屋さんに聞いてた...
「そういえば仰ってましたよね。『あの方は何でもできるけど...
「そうだな……グレイ殿は臨機応変に過ぎるな。まあ、それも彼...
「あの人のすっとこどっこいは筋金入りですからねえ」
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そこにしつこく食い下がる二人から逃げてきた源が割って入...
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「源さん! 手当が終わるまでお酒飲んじゃ駄目!」
「ぎゃふん」
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つもりだった。
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「……終わり良ければ全て良し」
「あはは、ヴィスさんの言う通りだよね……そう言えばグレイさ...
「ああ、グレイ殿なら……」
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§ § ...
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「はい、グレイさん。終わりましたよ」
「イタタタタ……ささみちゃん、包帯締め過ぎ……」
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そのグレイは、スーナーニワトリのリーダーを連れて、養鶏...
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「何を言ってるんですか! こんな酷い怪我をしてきて! 死...
「いや、それは流石に言い過ぎじゃない?」
「グレイさん! 早速、つがいにして部屋に入れておきました...
「お、そうですか。楽しみですね」
「……もう」
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そして数日後、無事に目論み通りの素晴らしい食用鶏が生ま...
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ちなみに……
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「きゃー! グ、グレイさ〜んっ」
「どうした、ささみちゃん?」
「またタクローがっ、タクローがあぁ!」
「ごるぅあ! タクロー! いい加減にってどわあああ!!」
「くけえええええええ!!」
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すっかりグレイと意気投合し、『タクロー』と名付けられた...
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〜Fin.〜
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